アウディA4 Avant 35 TFSI advanced《写真撮影 中野英幸》

『A4』にアバントが登場したのは1992年のことで、それは前身にあたる『80』時代の「B4」と呼ぶ最終世代の時だった。最新モデルは「B9」だから、実に6世代にわたって変わらず設定され続けてきたことになる。

日本車ではワゴンというと、一時期の盛り上がりが嘘のように、今ではすっかり希少なボディタイプとなってしまった。けれど欧州車の場合、日本に未導入のブランド、モデルを含め、数多くのワゴンが用意される。ワゴンを愛用するユーザーから見れば羨ましい限り、だろう。

◆「ベストセラーモデルを大幅にアップグレード」


さて、新型プレスリリースのタイトルには「ベストセラーモデルを大幅にアップグレード」とあった。ボディサイズは従来型に対し、10mm長く、5mm幅広い。アバントでは全高の数値は20mm低くなっているが、これはルーフレールの形状の差によるものだろう。2825mmのホイールベースは変わらない。

外観ではグリル、ランプ、バンパーまわりのデザインが新しくなったほか、ボディパネルでは前後フェンダー、ドアのプレスラインの入り方がまったく新しい。とはいえいずれも印象としての差異は小さく、従来型を横に並べてじっくりと見れば違いがわかる……そんなレベルだ。


インテリアは基本的に従来型を踏襲した印象。インストルメントクラスターはフルHDの12.3インチディスプレイを用いたものだが、スピード/タコメーターはオーソドックスなアナログメーターの描写ができ、見やすくホッとする。

居住空間は相変わらず快適なもので、とくに後席は背筋を伸ばしたキレイな姿勢で着座でき、アバントのボディ形状のメリットでルーフがセダンより後方に伸びているため、頭上空間にゆとりがあり、ドアガラスも大きく乗車中の視界が広く、乗り降りの際の頭の出し入れもスムースだ。

◆『A6』に限りなく近づいたなめらかな走り


そして、見た目以上に進化したのが走り。試乗車は「35 TFSI advanced」で、搭載エンジンはこれまでの1.4リットルのダウンサイジングターボから、2リットルのターボに12VのMHEV(マイルドハイブリッド)を組み合わせたものとなった。これにより低速、加速、高速走行と、いずれの場面でも常に余裕のあるパワーフィールが味わえる。

さらに乗り味がよりしっとりと上質になったのは、走り出してスグに実感できる従来型との違い。アウディ車のラインアップでは今や少数派のFFモデルながら、そのなめらかな走りっぷりは『A6』に限りなく近づいたといっていい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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