プジョー 208 新型(写真は海外仕様)《Photo by Automobiles Peugeot》

◆格が上がった感がある新型『208』

プジョーのコンパクトカー、『208』である。先代に比べると力強くも品のある大人顔にデザインされ、格が上がった感がある。

インテリアは黒で統一され、甘さは一切ない。エアコンなどのスイッチは奥へ押すプッシュ式ではなく、トグルスイッチと呼ばれる一列に並んだ小さなヘラ(?)を、上からちょいっと押す感じ。


視認性も使いやすさもとてもいい。それにお洒落だし(だったら“ヘラ”とか書くなと言われそう。ピアノの鍵盤タイプと書いたほうがいいかしら)。

ハンドルは小さい。直径を小さくしないとスピードメータとかぶって見えにくいから、という理由である。それを証拠にハンドルはまんまるではなく、上と下がストレートになった横長の楕円形タイプ。これで、ハンドルの上端越しにスピードメータを見られるというわけだ。

◆小さいハンドルでも高速の不安感ゼロ


これ、先代から同じ考え方なのだが、先代はどう調整しても(私のドラポジだと)インパネの表示にハンドルがかぶって見えにくかった。でも、今回はしっかり見えるよう改善されている。

さてこの小径ハンドル。低速走行時ではパワステの手応えは軽く、街中はすいすいと小回りするのに操作しやすいのだが、でもこの軽さと小ささで高速走行はどうなのか。ぐらぐらしちゃって不安にならないのか?

そんな思いで高速道路に繰り出したものの、見事にいい意味で裏切られた。不安感ゼロ。これは、高速だとパワステの手ごたえが重くなるのもあるけれど、なによりボディとサスペンションのしっかり感に支えられていると思う。

速度を上げると、ぴたーっと路面に張り付くように安定して走れるのだ。直進性がいい=不用意にハンドルを動かさなくていい。高速走行は疲れにくく、とても気持ちいい。このサイズのクルマのくせに高速が得意だなんて。

◆低速〜中速がもっと滑らかなら100点なんだけれど


1.2リットル+ターボエンジンも、これで1.2リットルなのかと驚くほどパワフルで、しかも8速ATによるなめらかさと、常に適切なギアを選んで欲しいトルクが得られるメリットも大きい。この走りっぷり、日本のコンパクトカーとは、目指す方向性が違うのである。

ただ、日本人が期待するコンパクトカーは、街中ですいすい走る、という部分もある。ここはどうかというと、低速での加速時にちょっとだけもたつく感が否めない。私がせっかちなせいもあるけれど、低速〜中速がもっと滑らかなら100点なんだけれどな。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

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