中国江蘇省連雲港市から輸出される自動車《Photo by Wang Chun/VCG via Getty Images/ゲッティイメージズ》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

特に恩恵を受けそうなのが自動車分野なのだそうである。日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などの15カ国が、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に合意、署名したという。

きょうの各紙が1面トップで「RCEP署名関税91%撤退」などと大きなタイトルで取り上げている。それによると、世界経済・貿易の3割を占める最大規模の自由貿易圏が誕生するそうで、関税分野では、自動車部品など日本の工業製品を中心に各国がかける関税を全体の91.5%で撤廃するという。

日本にとっては中国向けのエンジン関連部品や電気自動車(EV)向けのモーター、蓄電池の部品の関税が幅広く撤廃され、自動車部品などの輸出拡大が期待できるほか、ASEAN各国には日本の自動車メーカーなどが多数進出しており、完成車や部品の関税がアジア広域で撤廃・削減されれば企業の国際展開に追い風となるという。

ただ、無関税の割合は、中国でいまの8%が86%に、韓国で19%が92%に拡大するが、ほぼ100%の撤廃率のTPPやEPAには及ばない。さらに、撤廃までの期間は中国向けではガソリン車用のエンジン部品の一部などは即時撤廃となるものの、EV用モーターなどは10年から20年などと長いものもある。しかも、将来的にも経済成長が期待されているインド抜きの協定となったことで、交渉参加国で最大の経済規模を誇る中国の影響力が高まる懸念もあるなど、「メリットの享受も限定的になる」との見方も指摘されている。

2020年11月16日付

●RCEP15か国署名、GDP世界の3割、日中韓、初の自由貿易協定 (読売・1面)

●電動自転車スマートに、イーバイク、バッテリー小型化 (読売・17面)

●無人駅5割に増加、障害者、利用に支障 (朝日・1面)

●ハミルトン7度目総合V シューマッハに並ぶ、F1トルコGP (毎日・18面)

●米に基幹部品工場、スバル、供給網を見直し (日経・3面)

●岐路に立つパナソニック、稼ぐ力ソニーに見劣り(日経・5面)

F1で年間王者になったハミルトン《Photo by Dan Istitene - Formula 1/Formula 1 via Getty Images/ゲッティイメージズ》