いすゞ自動車、ボルボ・グループ共同会見《写真撮影 小松哲也》

いすゞ自動車、ボルボ・グループは10月30日、商用車分野での戦略提携に関する基本契約を正式に締結したと発表した。この提携は20年以上にわたる長期的な協業を目指すとともに、ボルボ・グループ傘下のUDトラックスをいすゞへ譲渡することも含まれている。

いすゞの片山正則社長は同日、オンラインを通じて行った共同会見で「いすゞとボルボ・グループは今後20年間以上の長期にわたり協業を進めていく。いすゞとボルボ・グループは得意な市場と商品が異なり事業での相性が良いことに加え、会社として目指す方向性や企業文化の面で共感できる点が多々ある。両社が協業することで大きなシナジーを生み出すことができると私自身確信している」と述べた。

その上で「いすゞとボルボ・グループは商業車業界における世界最大規模の協業により、両社の事業のさらなる発展と、社会やお客様へ提供する価値の最大化を目指していく」と強調した。

これを受けボルボのマーティン・ルンドステットCEOは「本戦略的提携の核心は長期にわたる技術提携にあり、両社の強みを引き出し、その力を増強していく。さらにスケールメリットも生かして、両社の既存技術、先進技術に必要な投資を行っていく」と応じた。

UDトラックスのいすゞへの譲渡は2021年上半期中に手続きを完了する予定という。片山社長は「協業の一環としてUDトラックスをいすゞグループに迎え入れることとなった。UDトラックスは協業を効率的かつ効果的に進めるため、いすゞとボルボ・グループをつなぐ重要な役割を今後担ってもらうことになる」と期待を寄せた。

またルンドステットCEOは「UD買収後、我々はチーム一丸となり次の段階へとUD事業を成長させてきた。UDチームは一歩一歩、顧客満足度、利益、マーケットシェアなど様々な分野で向上してきた。コロナ禍であっても着実に結果を出している。今まさに我々はUDの事業を次の段階へ昇華させることが可能となった。アジアを軸足にこれより数年、さらなるビジネスチャンスを追求していくことを期待し、つなげていきたいと考えている」と話した。

いすゞとボルボは今回の提携を通じて技術、購買、中・小型トラック、日本・アジア市場での大型トラックの4つの領域で協業を進める。このうち日本・アジア市場での大型トラックに関してはまず第1ステップとして2022年度をめどにUDの一部車種をいすゞブランドで販売を開始する。その後、2025年に向けていすゞとUDは同市場向け大型トラックのプラットフォームの共同開発にも着手するという。

いすゞの南真介取締役常務執行役員は会見でUDの譲受および日本・アジア市場での大型トラック開発や購買、販売、サービスでの協業により500億円のシナジー効果が見込めるとの試算を示した。

両者の強み《image by Volvo Group》 いすゞ(たい、チェンマイ)《Photo by Artur Widak/NurPhoto via Getty Images/ゲッティイメージズ》 いすゞ自動車、ボルボ・グループ共同会見《写真撮影 小松哲也》 ボルボ・トラック《photo by Volvo Trucks》 いすゞ自動車、ボルボ・グループ共同会見《写真撮影 小松哲也》 主な協業案件《image by Volvo Group》 商品《image by Volvo Group》 UDトラック《photo by UD Trucks》