パナソニック《Photo Illustration by Mateusz Slodkowski/SOPA Images/LightRocket via Getty Images/ゲッティイメージズ》

パナソニックは10月29日、2020年度第2四半期決算を発表した。その会見の席上、梅田博和CFOは、テスラ向け新型電池「4680」について「すでに開発に着手している」と明らかにした。

「4680」とは、テスラのイーロン・マスクCEOが9月の事業説明会で、構想として発表した高容量の円筒形電池。パナソニックはその発表を受けて、すぐに開発に着手し、試作ラインを立ち上げる準備も進めているという。

「私どもの電池は高容量化、安全性が高いということが強みで、テスラとは従来からいろいろな電池について打ち合わせを行っている。高容量の電池にはテスラからの強い要請もあるし、私どもが目指す姿とも一致することから、しっかりと開発を行っていく」と梅田CFOは強調する。

パナソニックは現在、テスラと共同で運営している米電池工場「ギガファクトリー」で、1ラインの増設を含む改良を進め、2022年には38〜39ギガワットアワーの生産能力にする計画だ。しかし、マスクCEOの桁違い。

「2030年に4680で3テラワットを達成したいと言っていた。その規模感はアメリカの工場、ギガファクトリーの80個分になる。われわれ1社でとてもまかなえるものではないので、われわれが強みの出る分野で競争していきたいと考えている」と梅田CFOは話す。

これまで散々テスラに振り回されてきただけに、パナソニックとしてはできることだけやろうと言うことなのだろう。なにしろテスラ事業は長いこと赤字を垂れ流し、最近になってようやく四半期ベースで黒字を達成したばかりなのだ。「今期の黒字化は今の時点では微妙」(梅田CFO)とのことだ。

いずれにしても、パナソニックの車載事業は誤算の連続。2020年度通期見通しも営業損益は340億円の赤字(前期は466億円の赤字)の見通しだ。これは、欧州自動車メーカーとの車載機器取引の失敗が響いている。

同日発表した2020年第2四半期累計(4〜9月)の業績は、売上高が3兆591億円(前年同期比20.4%減)、営業利益が966億円(同31.1%減)、当期純利益488億円(同51.6%)の大幅な減収減益。通期見通しについても、売上高6兆5000億円(前期比13.2%減)、営業利益1500億円(同48.9%減)、当期純利益1000億円(同55.7%減)。前日発表したソニーとは、差が広がるばかりだ。