28日、ホンダ製パワーユニット(PU)を搭載してF1を戦っているイタリアのチーム「アルファタウリ」が、現レースドライバーであるピエール・ガスリーが来季2021年も引き続き同チームでF1に参戦することを発表した。
フランス国籍の24歳、ピエール・ガスリーは今季イタリアGPでF1初優勝を飾った気鋭のドライバー。2016年にGP2(現FIA-F2)でチャンピオンとなり、翌17年は日本のスーパーフォーミュラ(SF)を主戦場に。SFではホンダエンジン搭載チームで走り、シリーズ2位に入る活躍を見せた。そしてSF参戦中だった17年の終盤、トロロッソ(現アルファタウリ、当時はルノー製PU搭載)からF1デビューの機会を得て、計5レースに参戦。
翌18年、ホンダ製PU搭載となったトロロッソでガスリーは自身初のF1フル参戦を果たす(最高4位)。続く19年は、この年からホンダ勢に加わったレッドブルに“昇格移籍”(レッドブルはトロロッソ〜アルファタウリの系列上位チームにあたる)。しかしシーズン途中でアレクサンダー・アルボンと入れかわる格好でトロロッソに戻った。
ガスリーは19年終盤のブラジルGPで2位に入り、F1での初表彰台を獲得。トロロッソがアルファタウリに名を改めた今季20年も同チームからの継続参戦となったガスリーは、第8戦イタリアGP(モンツァ)で自身のF1初優勝を飾っている。チームにとっては12年ぶりの通算2勝目で、トロロッソ〜アルファタウリがホンダと共闘して50戦目の節目での“タッグ初優勝”にもなった。
レッドブルで走った昨季前半はもうひとつだったガスリー、しかしトロロッソ〜アルファタウリに戻ってからは好走が目立っている。優勝したイタリアGP以外にも評価の高い内容のレースが多い今季、当然のようにレッドブル再昇格という噂も出てきていたが、ここで来季21年もガスリーはアルファタウリで走ることが決定、発表された。アルファタウリの実質的エースとして戦う方がガスリーは力を発揮できる、という判断が陣営(レッドブルグループ)にはあるのかもしれない。
ガスリーはアルファタウリ残留を「とてもハッピーだよ!」と大いに喜びつつ、「今季はすごくうまくいっているし、チーム史上、最高の成功となるシーズンを僕たちは戦っている。やって来るチャンスをすべて、ものにできているんだ。その最たる例がイタリアGPでの優勝であり、とても誇らしく思っている。来年のチャレンジも楽しみだ」との旨を語っている。
なお、レッドブルには来季21年も大エース、マックス・フェルスタッペンの契約が残る(現契約は23年までとされる)。ホンダ製PUのワークス供給最終年となる21年、レッドブル・ホンダはフェルスタッペンの、アルファタウリ・ホンダはガスリーの残留がそれぞれ決まったが、どちらも僚友は未発表(今季20年はレッドブルがアルボン、アルファタウリはダニール・クビアト)。
ここで気になるのは、期待の次期日本人F1ドライバー候補筆頭、レッドブルとホンダ双方のジュニアプログラムに属す角田裕毅(F2参戦中)の存在だ。彼が来季21年にF1実戦参戦のシートを得ることができるとすればそれはアルファタウリ・ホンダ、と思われているわけだが、今季好調なF2でスーパーライセンス獲得につながる成績をこのまま順調に積み重ね、レッドブルグループの評価をさらに高めて、ガスリーの“サイドシート”をつかめるか?
角田は11月4日に2018年型のトロロッソF1マシンでテスト走行をする予定になっている(既報)。ここで300kmの距離をこなすことが、今季中にF1のレースウイークの金曜フリー走行1回目に出走するための必須条件とされており、理想通りにことが運ぶなら、今季終盤で“金曜デビュー”、そして来季の実戦シートへ、という流れだろうか。アルファタウリ・ホンダの来季“もう1席”を巡る情勢に引き続き注目したい。
【F1】ピエール・ガスリー、2021年もアルファタウリ・ホンダから参戦
2020年10月29日(木) 08時15分
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