日産 キックス《写真撮影 小林岳夫》

◆なんだこの飛ぶような滑るような走りは

SUVといえば、重厚感ある走りと相場が決まっている。背が高く、全面投影面積が大きく、風の抵抗を真正面から受けつつもぐいぐい走るというイメージだ。ところが。

『キックス』の走り出しの軽さといったらない。なんだこの飛ぶような滑るような走りは。とんでもない軽快さである。さすが「e-POWER」、電気モーターの加速はSUVになっても健在なのだ。

ガソリンエンジンで発電して電気を作り、電気自動車として走る。なんかまどろっこしいシステムである。エンジンはあるからエンジン音がするし、正直なところかなりする。そして、コンセントにプラグを挿しての充電はしない。あくまでも電源は、エンジンで作った電気を貯めたバッテリーなのである。

◆「ノーマル」で軽く楽しく走ったほうがいい


走りの滑らかさを左右するドライブモードは切り替え式で、スマート(燃費と加速の両立)/エコ(スマートより燃費より)/ノーマル(高速道路などを想定)の3段階。スマートとエコは、回生ブレーキががつんと聞くので、ワンペダルで速度をコントロールできる。

これが下り坂で本当に使いやすい。アクセルペダルをもどすだけで速度をぐーっと抑えてくれるため、ブレーキペダルへの足変え不要。高速道路を走っていても、料金所が近づいてきたときにノーマルからスマートへと切り替えると、じわりと速度が落ちていく。本当に便利なのだ。ついでに、渋滞も便利。

ただ、ノーマルで走っているときにスマートへと切り替えると、なぜだか息がつまるような感覚になる。正しくは、アクセルペダルが重く感じる、なのだけれど、でも、ワタシ的には、胸のあたりに圧力がかかり息苦しく感じてしまうのだ。なので、ワンペダルで加減速ができる楽しさはさておき、高速のみならず街中でもどこでも、ノーマルで軽く楽しく走ってしまう。いや、絶対、このノーマルで走ったほうが気持ちいいと思う。

◆マナーモードで静かなだけに…


さて、電気自動車らしく、バッテリーに電気が十分あるときは、エンジンがかからず静かに走行できるマナーモードも設定されている。夜間、帰宅するときなど便利というふれこみなのだが、残念ながら我が家は、壁ぎりぎりまでバックでとめる駐車場になっており、障害物を検知したアシスト機能がこれでもかってくらい警告音を出してくれる。音量として過去最高値(イワサダ調べ)で、正直、ご近所迷惑にならないか、あせりまくりだ。

マナーモードで静かなだけに、アラームが余計うるさく感じる残念さ。バランスってむずかしい。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

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