ホンダがエンジンを提供するF1チーム、アルファタウリ《写真提供 ホンダ》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

「ここ数日が本当の試練」とか「体調は引き続き良好で5日には退院できる」などと、情報が混乱している、新型コロナウイルス感染で入院中のトランプ米大統領の病状だが、感染者のうち高齢で肥満体型の人ほど重症化するリスクが高いという調査結果も伝えられている。

この週末はトランプ氏がコロナに感染したニュースで世界中が大騒ぎとなったが、モーターファンにとっては、ホンダが自動車レースのF1(フォーミュラワン)から撤退を決めたこともショックが大きかったようだ。

ホンダが2021年のシーズン限りでF1から撤退すると突然発表したのは、10月2日夕方のこと。翌3日の朝刊各紙にも「ホンダF1完全撤退、2021年限り、エンジンから次世代技術へ」(朝日)などと、経済面やスポーツ面などで大きく報じていた。また、日経は4日朝刊にも「ホンダ四輪稼ぐ力失速、F1から4度目の撤退、EVや自動運転投資重く」とのタイトルで、完全撤退の決断に至るまでの厳しい経営状況などを詳しく分析して伝えている。

その記事で興味深いのは「次世代の環境対応車に経営資源を集中するという撤退の理由は、リーマンショックが引き金となった08年の3度目の撤退表明と、うり二つ。だが足元の状況は当時よりも厳しいといえる。四輪事業の稼ぐ力が大幅に低下しているためだ」などと解説していることである。

ホンダではこの10月から原則在宅勤務に移行したほか、国内外の出張を極力抑制する方針のようだが、それはコロナの影響ばかりでなく、定期代などの経費削減が本来の狙いとみられる。先の米GMとの提携強化の発表にしても、屋台骨の四輪事業が揺らいで瀬戸際に立たされていることを自ら露呈したようなもの。

今回のF1撤退について中堅社員の一人は「厳しい財務状況からも当然の判断で遅すぎたほど。あとは毎年400億円もの赤字を垂れ流しているジェット事業をどうするのか?」と口ごもる。コロナ危機が長引けば経営陣はもう一つの苦渋の決断を迫られそうだ。

2020年10月5日付

●トランプ氏「数日が試練」コロナ感染、首相補佐官「一時憂慮」(読売・1面)

●Go To岐路の灯(読売・1面)

●米加州ガソリン車販売どうなるの?(毎日・3面)

●産業景気予測、経営者の目・加藤隆雄・三菱自動車CEO「経済再開でクルマ需要底打ち」(日経・20面)

●主要30業種の天気図、自動車・新車販売なお苦戦(日経・21面)

ホンダジェット《写真提供 ホンダ》