マツダ車で楽しむカーオーディオ!プロショップが製作した実例3台レポート《写真撮影 雪岡直樹》

オーディオのグレードアップが難しいと言われているマツダ車。しかしプロショップならさまざまな手法があり、狙ったシステムを組むことができる。そんな実例3台を紹介してくれたのが茨城県のサウンドステーション クァンタム。個性豊かシステムを見てみよう。

◆マツダ車の高音質オーディオ化が
可能なことを証明する実践例3台

近年、ボディフォルムやインテリアデザインの洗練度アップに加え、使いやすいパッケージングや魅力のパワートレーンなどを備え、人気モデルを次々と輩出しているマツダ。『CX-5』、『CX-30』、『マツダ3』など、ヒットモデルを連発しブランドイメージも急上昇中大だ。

しかしオーディオユーザーの間ではマツダ車の評判はあまりよろしくない。その象徴的なシステムがマツダコネクト(通称マツコネ)で、純正で閉じたシステムを組み、システムアップが難しいと言われているのがその理由。またキックパネル(車両前方コーナー部分のカウルサイド)にエンクロージャーに収められたスピーカーを備えるモデルもあり、ドア下部に純正スピーカー位置がないためスピーカー交換もひと工夫が必要になる。

しかしアイデア次第でマツダ車もハイレベルなオーディオを組むことができることを証明したのが今回の3台。サウンドステーション クァンタムがユーザーのニーズをくみ取って、システムデザインやスピーカーロケーションを工夫。マツダ車ではあることを忘れてしまうほどスマートでハイレベルなオーディオシステムを組み上げた。

これまで「マツダ車=オーディオインストールに不向き」と思っていたユーザーも、3台のインストール例を見れば躊躇することなくオーディオインストールを実践できることを確信するはず。しかも三者三様のシステムで、どんなシステムにも対応できることも確認できる。クァンタムの技術力&アイデアが確認できる3台だ。

◆DSPアンプ+スピーカーを追加
ライトなシステムで高音質化を果たす

最初に取材したのは湯原さんのCX-5。プロショップに出向いたきっかけは「マツコネをなんとかして良い音にしたい」だった。クァンタムで提案されたのはDSPアンプを追加してフロントスピーカーをマルチ接続すること。選んだスピーカーはカロッツェリアのTS-V173S。マツコネからのハイレベル出力をDSPアンプに入力しフロント2ウェイを内蔵アンプでマルチドライブ、DSPの調整機能もフルに活用することでサウンドは激変したという。

「DSPアンプを追加することとスピーカーのグレードアップでサウンドが大幅にアップしました。来店するまでは難しいと思っていたマツダ車でも手法次第でシステムアップができるんだと思いました。その音を聴いたらさらに上を目指したくなってきました」。

マツコネの呪縛から解き放たれた湯原さんは、さらに上の音を目指してシステムアップを開始。カロッツェリアのサブウーファーTS-W2520を専用エンクロージャーに組んで設置した。

「全域で音の厚みが出てきてますます良い音になりました」とご満悦。しかしこれだけではオーナーのレベルアップは止まらない。次にスピーカーのインストール強化を実施。ミッドバスをアウター化、ツイーターをAピラーにビルトイン取り付けする変更を実施。さらにハイレゾデータの利用を見据えて、DSPアンプをヘリックスのP-SIX DSP MK2にグレードアップした。

「DSPアンプの変更は音のレベルアップでもスゴく効果がありました。音場が一気に広くなりました。クリアで各楽器の位置もより明確になったので満足しています」。

大幅な加工を加えることなく高音質を得たオーナー。今ではマツコネの扱いに困っていたことをすっかり忘れて音の良いオーディオを楽しんでいる。今後のシステムアップも楽しみ。

◆キックの純正ミッドバスを生かしつつ
3ウェイシステムを構築する裏技を実施

次に取材を実施したヒロさんのCX-30も印象的なシステムが組まれている。

「CX-30の純正内装が好きだったのでインテリアデザインは変えないで音を良くしたいと思っていました。そこでクァンタムに相談したところ今回のシステムを提案されたんです」。

CX-30は車両前方コーナー部分のカウルサイドに純正ミッドバスを装備する独特のスピーカーロケーションを持つ。そのためドア下部にはミッドバスが無い構造だ。これだと従来のようにドアスピーカーを簡単は設置できない。また設置するとなるとドアの大加工が必要になりオーナーの意向に反してしまう。そこでクァンタムでは純正スピーカーを生かした3ウェイシステムをプランする。オーナーが選んだスピーカーはビーウィズのリファレンスAM。

「純正のミッドバスを外すことなく3ウェイ化できると提案されたが決め手になってシステムを決定しました。スピーカーはいろいろ聴き比べたんですが、ツイーターとミッドレンジのつながりが非常に良く、高域がすごく美しいスピーカーという印象だったのでリファレンスAMを選びました」。

ミッドレンジをドアの純正位置に、ツイーターはAピラーにビルトインするインストールを実施。こうしてカウルサイドにある純正ミッドバスとの3ウェイシステムを構築した。

ドライブするのはヘリックスのDSPアンプであるM5 DSP MK2。しかしこれ一台ではフロント3ウェイをドライブできないため、純正ミッドバスは同じくヘリックスのパワーアンプであるM-2FXを追加している。こうしてカロッツェリアのパワードサブウーファーを加えたフロント3ウェイ+サブウーファーのシステムを構築した。

「純正+リファレンスAMの組み合わせだったので当初はうまくつながるのかが不安でしたが、実際に音を聴いてみるとピタリとつながってまとまりの良い音になっていたのでスゴく気に入ってます」。

望み通りにインテリアのデザインを大きく変えることなく高音質化に成功したオーナー。純正ミッドバスを生かしたシステム提案が見事に決まった一台と言えるだろう。

◆ドア下部にエンクロージャーを組んで
ユートピアMのミッドバスをインストール

3台目に取材したのは田中さんのマツダ3。このクルマも先に紹介したCX-30同様、純正ミッドバスをカウルサイドに設置しているため、ドアにはミッドバスを持たない変則スタイル。しかしオーナーは思いきってドア加工を実施する。

「もともとマツダ車はオーディオが付けにくいと思って避けていたんです、しかしサイズ的にも静粛性の高さでも気に入ったマツダ3を購入して、なんとかこのクルマで良い音を作りたいと思ったのがクァンタムに出かけたきっかけでした」。

なんとかフロント3ウェイをインストールしたかったオーナー、ショップとの相談で出てきた提案は“ドアを加工してミッドバスを入れる”取り付けスタイルだった。しかしインナーパネルをカットするとせっかくの静粛性を犠牲にしてしまう。そこですべてを満たす方法として出てきたのが奥行きの薄いスピーカーであるフォーカル・ユートピアMを使ってドア下部をエンクロージャー化するスタイルだった。

「エンクロージャー化するとデッドニングも不要になるし良いと思ったんです。さらにドアパネルも切らなくて済むと聞いて決めました。ただしデザインは“いかにもオーディオカー”的なものではなく純正っぽい形状をオーダーしました」。

ユートピアのミッドバスはこうしてドア下部にエンクロージャーを組んでインストール。さらにツイーターはAピラーに、ミッドレンジをドアの純正位置に設置して3ウェイ化を完成させた。

システムデザインとしてはマツコネのスピーカーレベル出力をヘリックスのDSPであるウルトラにインプット、同じくヘリックスのパワーアンプであるC-FOURを2台システムに組み入れてドライブする。サブウーファーにはダイヤトーンのSW-G50を採用した。

「エンクロージャーの作りもすごくキレイでさすがの出来映えでした。サウンド面でも期待を超える音で満足しています。今後はDAPを導入してDSPにダイレクトでインプットした音も楽しみたいと思っています」。

◆マツダ車のオーディオ的な可能性を
広げるプロショップの高い技術力に注目

エントリーレベルからエキスパートなシステムまで、マツダ車をうまく料理したクァンタム。オーナーが望む純正を生かしたシステムや、静粛性を損なわない作り込みなど、ケースバイケースの要求をすべて受け入れてプランを練るところも腕利きのプロショップであるクァンタムならではであり、プロショップの実力だ。この3台に仕上がりぶりを見ればマツダ車のオーディオインストールにも特別なハードルはないことがわかるだろう。これまで躊躇していたオーナーもこれを機会にオーディオのグレードアップを実施してみよう。

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