テスラ・モデルS《photo by Tesla》

テスラは6月15日、『モデルS』(Tesla Model S)に「ロングレンジプラス」を北米で設定すると発表した。米国EPA(環境保護局)が認定予定の航続が、EVとして初めて400マイルを超えて、402マイル(約647km)を達成する、としている。

◆2019年型「100D」に対して航続を20%延長

テスラは2012年、モデルSを米国市場で発売した。当時の航続は、265マイル(約426km)。テスラは、移動の自由を重要な使命と位置付けている。 2012年にモデルSを発売して以来、設計のあらゆる面を改良し続け、高性能かつ航続の長いEVを販売してきた。

その最新の成果が、モデルSのロングレンジプラスだ。テスラによると、EPAが認定予定の402マイル(約647km)の航続は、同じバッテリーパックを積む2019年モデルの「100D」に対して、約20%延長されているという。

402マイルの航続の実現は、テスラの効率追求とエネルギー節約に対するこだわりを反映したものだ。テスラのエンジニアリング、設計、生産チームが、ハードウェアとシステムアーキテクチャの開発において、いくつかの変更を行った。

◆バッテリーやドライブユニットを軽量化

重量は効率とパフォーマンスに影響を与えるため、テスラはすべてのコンポーネントの重量を最小限に抑えることを、設計チームとエンジニアリングチームの目標に据えている。今回、『モデル3』と『モデルY』のエンジニアリング設計と生産面でのノウハウが、モデルSと『モデルX』にも投入された。これにより、モデルSとモデルXは、プレミアムなフィーリングとパフォーマンスを維持しながら、重量を削減した。バッテリーパックとドライブユニットに軽量素材を使い、シートの製造方法の見直しにより、さらなる軽量化を達成している。

ロングレンジプラスには、新開発の「テンペスト」と呼ばれるエアロホイールを装着する。この8.5インチ幅のエアロホイールは、従来のホイールと比較して、空力抵抗を減らした。転がり抵抗を低減するように設計された新しいタイヤと組み合わせると、航続は2%向上するという。

◆EVパワートレインの効率を向上

リアのACインダクションドライブユニットは、機械式オイルポンプを電気式オイルポンプに置き換え、車速にかかわらず潤滑を最適化して、摩擦を低減した。モデル3とモデルYと同じフロントの永久磁石同期モーターは、ギアボックスを改良した。この結果、高速道路での航続が2%増えている。

ブレーキの「HOLD」機能は、モーターの回生ブレーキと通常のブレーキを組み合わせ、アクセルペダルを緩めることで車両を停止できる。車をスムーズに停止させるために、回生ブレーキを再チューニングし、より多くのエネルギーをバッテリーに回収できるようにした。

◆充電時間を最大50%短縮した「スーパーチャージャー」

テスラ独自の急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」は現在、世界中で1万7000以上の拠点を擁している。テスラは世界3大陸に「V3」スーパーチャージャー」を導入し、「V2」テクノロジーと比較して充電時間を最大50%短縮した。テスラの顧客は、米国フロリダのエバーグレーズからカナダ・バンクーバー、ノルウェーの北極圏、ポルトガル南部、香港、中国のハルビンまで、長距離をわずかなコストで移動できるという。

なお、モデルSのロングレンジプラスは、他の車両と同様に、無線によるソフトウェアのアップデートを受け、継続的に改善される、としている。

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