トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》

2019年度(2019年4月から2020年3月)の小型/普通車登録台数ランキングでは、『カローラ』が1位になった。この販売実績には、セダン、ツーリング(ワゴン)、スポーツ(5ドアハッチバック)、さらに5ナンバー車となる継続生産型のカローラアクシオ&フィールダーも含まれるが、主力は2019年に発売されたセダン&ツーリングだ。ここではセダンを取り上げる。

◆注目は走行安定性と乗り心地


3ナンバー車になったが、全長は4495mm、全幅は1745mmだから、今でも小さな部類に入る。カローラよりも幅の狭い国産セダンは、5ナンバーサイズになる『グレイス』、『プレミオ』&『アリオン』、継続生産されるカローラアクシオのみだ。

最小回転半径は、15インチタイヤ装着車が5.0m、16/17インチでも5.3mだから小回り性能は良い。ただし前後のピラー(柱)が寝ているので、斜め前方と斜め後方の視界はあまり良くない。

カローラで注目されるのは走行安定性と乗り心地だ。操舵に対する車両の反応が正確で、ドライバーも一体感を得やすい。上質感も味わえる。カーブを曲がる時には4輪の接地性が優れ、特に後輪が良く踏ん張るから、危険を避ける時も挙動を乱しにくい。乗り心地も粗さを抑えた。全幅が1750mm以下のセダンでは、安定性と乗り心地が最も優れている。

◆扱いやすさの1.8L、燃費代「半分」のハイブリッド


エンジンは1.8リットルのノーマルタイプとハイブリッド、6速MT専用の1.2リットルターボを用意した。最も扱いやすいのは1.8リットルノーマルエンジンで、実用回転域の駆動力が高いから運転しやすい。

ハイブリッドはWLTCモード燃費が29km/リットル(S&G-X)と良好だ。1.8リットルノーマルエンジンは14.6km/リットルだから、ハイブリッドであれば数値上は燃料代を半額に節約できる。


走りと乗り心地は向上したが、後席は5ナンバーサイズのカローラアクシオ&フィールダーよりも窮屈だ。前後席に座る乗員同士の間隔が30mm狭まり、床と座面の間隔も40mm減った。そのために後席は腰が落ち込んで膝の持ち上がる座り方になる。

◆バランスの良さなら16インチの「S」

実用性も含めると、車両の性格はスポーティセダンに近い。2名以内で乗車するなら高い満足感を味わえる。特に1.8リットルノーマルエンジンを搭載して16インチタイヤを装着する「S」(213万9500円)は、安定性と乗り心地のバランスも良好だ。17インチタイヤの「W×B」は、操舵感が少し機敏になるが、乗り心地も硬めに変わる。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(ハイブリッド)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(ハイブリッド)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(ハイブリッド)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラセダン(1.8Lガソリン)《撮影 雪岡直樹》 トヨタ カローラツーリング(左)とセダン(右)《撮影 雪岡直樹》