「懐かしのカーカタログ」ではかつてのクルマ本体をカタログで振り返っているが、新たに、個別の装備や仕様という切り口で、いろいろなモノを振り返ってみたい。今回のテーマは純正カーオーディオだ。今はなき「8トラック」に「DAT」……今思えば、「なぜこれが標準装備!?」と驚くものもある。レトロブームに乗っかって復活、なんてことも……?
◆8トラック
トヨタ・クラウン:1972年(年式はカタログ記載のもの・以下同)
カセットテープ普及前にあった、カートリッジ式の媒体。通称“8トラ”で名前の由来はステレオ(2トラック)で記録された4本のトラックを切り替えて聴く方式だったから。可搬性があり、エンドレス再生で便利だったが、テープ(カートリッジの内部構造)の耐久性はあまり高くなかった。
◆カセットテープ
日産ブルーバード:1980年
カセットテープが一般的だった時代、純正カーステレオでも次第にこだわりを見せる機能が登場した。4スピーカーステレオもそのひとつで、1本のレバーをグリグリと回して操作し、4つのスピーカーのボリュームを調整する仕掛けだった。
◆カセットデッキ・正立式
マツダ・ルーチェ:1986年
なんとホームオーディオのような、テープが見える正立式のユニット。スイッチ類も物理的にスイッチを押し込むのではなく、(確か)指先でコツンと押せばよいフルロジックだったと記憶している。音質のモード切り替え付きも自慢で、その中には“ENKA(演歌)”も!
◆DAT
トヨタ・セルシオ:1989年
さすが『セルシオ』(当時)である。オプション設定ではあったが、当時先端のデジタル媒体だったDATをいち早く用意した。「スーパーライブサウンドシステム」はトヨタのこだわりのシステムの総称、7スピーカーで、シート表皮(本革かファブリックか)ごとに専用イコライザーも用意。ちなみにDATは市販カーオーディオでも1、2モデルがあったのみだった。
◆マッキントッシュ
スバル・レガシィツーリングワゴン:1998年
マッキントッシュは1946年創業のオーディオマニア垂涎のブランドのひとつ。「まさかその音がクルマの中でも堪能できるとは!」と、筆者も登場時の取材で初めて実機に触れて感動したことを覚えている。クルマ用メーカーオプションでは世界初。ホーム用同様のアルミ無垢のダイヤル、専用ケーブルなど、こだわり抜いたスペックだった。
◆BOSE
マツダ RX-7:1993年
日産・ステージア:2001年
さまざまな自動車メーカーにオーディオシステムを提供しているBOSE。FD型『RX-7』の「スーパーミュージックプレミアムシステム」では、全長2.7mという専用設計の“ウェイブガイド”を搭載。独自の音響共振作用を利用し、コンパクトなシステムで豊かな音場を作り出した。
一方の2代目『ステージア』の「プレステージサウンドシステム」では、ラゲッジアンダーボックス下のスペアタイヤホイール内に収まるRichbassウーファーを採用。ステーションワゴン用らしくスペースを議勢にすることなく深みのある低音を鳴らすシステムだった。
◆純正スピーカー
三菱・デボネア:1979年
ショーファーカーらしいと思えたのが、リヤスピーカーへのこだわり。セダンのリヤシェルフ埋め込み式は当時の定番だったが、ユニットはドーム型3cmトゥイーターと10cmウーファーとし(フロントは10cmフルレンジ)、なんとアッテネーターを装備し、子細な音響特性の調整が可能だった。
◆専用設計の凝ったオーディオ
三菱・ランサーセレステ:1977年
「ランサー・セレステ1600GTシステム80・1977」とモデル名にも謳われた、凝った専用設計の凝ったシステムを搭載。センターコンソールパネルに操作系をひとまとめにしており、円形の盤面はFMのチューニング用。スピーカーは『デボネア』にも搭載された、アッテネーター付きだった。
◆MD
VW ゴルフ:1998年
4世代目『ゴルフ』は、クルマとしてのクオリティ、静粛性などが一段と高められたことが印象的なモデルだった。そして当時、CDよりもコンパクトなデジタルメディアのMDデッキ(CD/MDチェンジャーコントロール機能付き)を、いち早く車載の標準オーディオとして搭載。ユニットはSONY製で、開発段階でクルマ自体のバックライト(オレンジ色)とユニットの照明の色調を合わせるのに苦労した……そんなエピソードをどこかで聞いた覚えがある。
◆マークレビンソンプレミアムサウンドシステム
トヨタ・セルシオ:2001年
日本市場では最後の『セルシオ』名義となる3代目では、マークレビンソンが搭載された。ホーム用のハイエンドオーディオでは著名なメーカーで、同社のシステムの開発はマークレビンソンの特別設計チームが取り組んだという。専用のDSPアンプを核に20mmホーントゥイーターなどを採用した11スピーカー構成。静謐な走りに相応しい、厳かなサウンドを実現していた。
「8トラック」に「DAT」…純正採用された驚き?のカーオーディオたち【懐かしのカーカタログ】
2020年04月10日(金) 22時00分
関連ニュース
- [カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、使い勝手の良い「サブウーファーボックス」を作れる! (04月24日 14時00分)
- [カーオーディオ・素朴な疑問]スピーカーの“国産モデル”と“海外モデル”、選ぶべきはどっち? (04月22日 06時30分)
- ランクル250の原点、初代『ランドクルーザー・プラド』が見せた「90’sのモダーン」【懐かしのカーカタログ】 (04月21日 17時00分)
- [カーオーディオ 逸品探究]アルパインの自信作、「Xプレミアムサウンドスピーカー」の実力は… (04月19日 06時30分)
- [カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、欲しいサウンドを奏でられる「サブウーファーボックス」を作れる! (04月17日 06時30分)