◆クルマのことを理解している玄人向けの味付け
あれれ? 走り始めた瞬間に驚いた。『CX-30』は『マツダ3』と基本メカニズムを共用する兄弟関係にあるクルマだが、マツダ3には乗り心地で厳しい部分がある。路面の細かい凹凸をしっかりと拾い、車体が揺さぶられるのだ。特に極めて低い速度から街乗りくらいの領域でそれを強く感じられる。
ところがCX-30はそんなネガがなく、フラットで良好な乗り心地なのだ。ストロークの増えたサスペンションのおかげか、それともサイド面の厚みが増したタイヤのおかげか。おそらく両方だろう。
それでいて、ハンドリングはマツダ3の美点がしっかりと継承されている。ドライバーの操作に対してリニアに、過小でも過敏にでもなくニュートラルに反応するので旋回中や車線変更などで修正舵が少ないのは素晴らしい。気持ちよく走れるハンドリングだ。
スッと切れるとかシャープに曲がるといった誰にでも感じられるわかりやすさがないから本当にクルマのことを理解している玄人向けの味付けだけど、このハンドリングを求めてCX-30を選ぶ価値は十分にあると断言できる。
◆スムーズな2.0Lガソリンエンジンのほうが印象よし
もうひとつ驚いたのは、マツダ3に比べて乗員に伝わるエンジンノイズが静かなこと。エンジニア曰く「騒音対策は基本的に同じですが、確かに静かに感じるという声は多いです。車体形状やエンジンとの位置関係などによる違いなのでしょう」とのこと。
エンジンは、燃費を求める人を除けばガソリンがオススメ。1.8リットルディーゼルは燃費が抜群に良いものの、2.2リットルに比べるとノイジーだし、低回転域のトルク感もマイルド。スムーズな2.0リットルガソリンエンジンのほうが、印象がいい。
注目のSKYACTIV-Xは、メカニズムとしては素晴らしいが、そのために約60万円を出せるかと問われれば、自分自身のクルマ選びとして考えると厳しいというのが正直な判断。賞賛すべき技術だということは、疑う余地がないのだが。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。愛車はフランス製ホットハッチとディーゼルのSUV。
【マツダ CX-30 新型試乗】このハンドリングを求めて選ぶ価値は十分ある…工藤貴宏
2020年01月10日(金) 12時00分
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