ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》

◆絶妙なスタイルとサイズ感の持ち主


『ロッキー』のコンセプトは単純明快。5ナンバーに収まる手頃なボディサイズで機能性が高く、スタイルは世の趨勢を読んだSUV、そして廉価。これはもう、多くのユーザーに“待たれていたクルマ”と言うほかない出来栄えだ。

フロントグリルからリヤバンパーまで、4mを切った全長のなかでキッチリとやり切った感が伝わるデザインは破綻がない。バンパー形状やフェンダーアーチの樹脂モールなどSUVらしさを盛り込みつつ、「ゴツそう」とも「小さいからひ弱そう」とも感じさせないスタイルの見せ方は絶妙。

気取らずスカさない自然体な持ち味、距離感は、日常ユースでも馴染みやすそうだ。なお試乗車のボディ色は「コンパーノレッド」といい、往年のダイハツの名車の名を冠した呼び名がつく。

◆申し分ない実用性の高さとインテリアの質感


インテリアもチープさはまったく感じさせず、独創的だが、いかにも「ここのデザインが見せ場です」といった目に刺さるような主張も控えめ。けれどよくよく観察すれば、2段に重ねたインパネやブリッジ状のセンターコンソール、エア吹き出し口、各種スイッチの配置が手際よく、操作性もスムース。現状でウエストラインから下は黒系1色だが、シート表皮、またはできればドアトリムなど、明るめのいい色を見つけて設定したら、室内の雰囲気が明るく、柔らかくなる気もする。

実用性の高さは申し分ない。乗降性はスムースだし、2段のリクライニング調整がつく後席の広さも十分……というより、外観のコンパクトさからすればかなりのゆとり。ミニバン径のクルマから乗り換えても問題なしだ。


バックドアは樹脂製だから、軽く持ち上げて開けられ、バフッ!と静かに閉まるのがいい。ラゲッジスペースは床面が通常時とそこから125mm下げた2段階に使えるだけでなく、床下にタップリした容量が確保されているのがいい。カタログにも記載があるが、ラゲッジスペースの寸法は幅1000mm、奥行き755mm(後席使用時)、高さ740mmと欧州コンパクトカーのように何気なくスペースが大きい。

◆SUVのカタチをしたお値打ち実用車


水平に伸びたフードが外観のイメージどおりに見渡せる運転席からの視界は、665mmの着座高で高からず低くもなくちょうどいい設定だ。最小回転半径が4.9mの扱いやすさも嬉しく、何より5ナンバーの全幅だから、スーパーの駐車場に停めるような場合でも、乗り降り、ドアの開け閉めが負担にならないのがいい。

3気筒の1リットルターボ(98ps/14.3kg・m)とロックアップ付きCVTの走りは軽快。街中での出足はまったくストレスがなく、CVTもCVTを感じさせない巧みな変速をこなし、スピードの乗せかたも上手だ。16インチタイヤの乗り味も路面からのショックの緩和がほどよいのがいい。

SUVのカタチをした実用車、しかも試乗車の車両本体価格は税込みで184.8万円と、これはお値打ちだ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(Z 2WD)《撮影 山内潤也》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》 ダイハツ ロッキー(X 2WD)《撮影 島崎七生人》