メーカーの若手技術者の姿も多く、メーカーの垣根を超えて語り合う場面も。《撮影 小林ゆき》

二輪車の専門家から基礎的知識が学べる「モーターサイクル工学基礎講座2019」が、2019年9月25日から3日間、静岡文化芸術大学で開催されている。

この講座は自動車工学の学会である自動車技術会が主催、技術者育成委員会・モーターサイクル工学基礎講座実施委員会が企画している。二輪工学の専門家とメーカーの技術者が産学協働で講師を担当し、初心者にもわかりやすい集中講座として開講。3回目になる今年は日程を3日間に増やしての開催となった。

講義の内容は「開発」「エンジン」「動力伝達系」「運動性能」「タイヤ」「サスペンション」「人間二輪車系」「生産技術」「デザイン」「技術者理論」の各項目。講師陣は、二輪車メーカーから川崎重工業、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキ、住友ゴム工業、ショーワ、ホンダエンジニアリングの現役技術者と、アカデミアからは帝京大学の本澤養樹氏が担当した。

二輪車はタイヤを前後1輪ずつ配置する構造のため、左右方向の自由度が大きいこと、ライダーの操縦操作が大きく運動特性に関わることなどが四輪車と大きく異なる。また、エンジンや足回りなどの装備や機能が相互に大きく関係しあうことから、専門以外の領域も理解することが重要となる。ところが、二輪車工学の基礎知識を横断的に大学などで学べる機会はなかなかなく、会場は二輪関連メーカーなどの若手技術者を中心に学生や研究者などで満員となった。

各講義の終わりには質疑応答も行われ、同業他社からの質疑応答で会場が沸く場面もしばしば見られた。また、女性技術者の参加が増えつつあり、活発な質疑が行われた。

今回は2か所で車両展示や部品メーカーの展示が行われた。ニューモデルだけでなく往年の名車やモックアップ、エンジンのカットモデルの展示や説明員による説明も行われ、技術者ならではの前のめりにじっくり観察する姿があちこちで見られた。

また「モーターサイクルの運動性能」の講義の説明で教材として使われた、特殊な自転車の試乗会も行われた。これは、キャスター角ゼロの自転車と、ロングホイールベースの自転車を用いて二輪車特有の旋回性能を説明するもの。事前申し込みでは定員を大きくオーバーし、抽選制で行われるほどの人気となった。

主催者によれば、二輪車工学への関心が高いことから、来年も開催したいとしている。

モーターサイクル工学基礎講座では最前線の現場で開発に関わる技術者が講師を担当した。《撮影 小林ゆき》 テキストは176ページものボリュームに。《撮影 小林ゆき》 会場となった静岡文化芸術大学。《撮影 小林ゆき》 会場は有料イベントにも関わらず事前に申し込みを締め切るほどの人気で、満員となった。《撮影 小林ゆき》 モーターサイクル工学基礎講座2019《撮影 小林ゆき》 部品メーカーの展示もあり、熱心に質問する姿も。《撮影 小林ゆき》 ゴールドウイングのカットモデルなども展示された。《撮影 小林ゆき》 ダンロップブースではタイヤの構造見本を使って説明。《撮影 小林ゆき》 カワサキNinja400のモックアップも展示された。《撮影 小林ゆき》 ホンダからは往年の名車CBが レーサー含め3モデル展示された。《撮影 小林ゆき》 展示されたエンジンのカットモデル。《撮影 小林ゆき》 操縦性能を知るために教材として改造された特殊な自転車の試乗会も行われた。こちらはキャスター角ゼロの自転車。《撮影 小林ゆき》