9月18日に開幕した「名古屋オートモーティブワールド2019」の基調講演に、トヨタ自動車の寺師茂樹副社長が登壇。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、従来のリチウムイオン電池に代わる「全固体電池」を搭載した電動モビリティの開発を進めていることを明らかにした。
寺師副社長は「モビリティの進化と未来への挑戦」と題した講演の中で、CASE時代を生き残るためのトヨタの取り組みを紹介。「オープンに幅広く仲間をつくっていく。全ての人に移動の自由を提供する。そのモビリティの中心となるのはFCV(燃料電池車)やEV(電気自動車)だ」として、車両の電動化への取り組みの紹介に時間を割いた。
電動化車両の普及に欠かせないのが二次電池(バッテリー)性能の向上だ。寺師副社長は、「トヨタは創業期から電池の重要性を認識し、こだわりを持って来た。(トヨタは)電池メーカーである、とさえ考えている」として、これまでの電池開発の歴史を紹介。2020年代に全個体電池の実用化を視野に入れて開発を進めているとした。
全個体電池は、従来のリチウムイオン電池で使用されている電解液・セパレータを固体電解質に置き換え高密度化することでイオンの移動速度を上げ、高効率化・小型化が期待されている。一方で、量産化に向けた課題も多い。性能面では、充放電時に粒子が変形する特徴があり、イオンの通り道が途切れてしまうことで性能の低下が起きる。また製造面では、水分に弱いという特徴があるためドライルームでの生産、プレス工程の改善などに取り組んでいる。「より大型の試作電池を作り、量産化に向けチャレンジしていく」とした。
そして寺師副社長は「東京オリンピック、パラリンピックが開かれる2020年、全固体電池を搭載したモビリティをお見せできるように、鋭意開発を進めている。多様なモビリティのサポートによって、今までオリンピック・パラリンピックを体験できなかった人に、移動の自由を提供することをチャレンジしていく」と語った。
トヨタは超小型EVを2020年に市販化するほか、3輪EVの『i-road』や車椅子タイプや立ち乗りタイプの小型モビリティの開発を進めている。FCVバスの導入も東京都を中心に100台以上を計画している。これらに全固体電池が搭載されるかは不明だが、世界の電動化技術を牽引するトヨタの最先端モビリティが近くお目見えすることは間違いない。
トヨタ、「全固体電池」搭載車を2020年、オリ・パラ向けに…名古屋オートモーティブワールド2019
2019年09月18日(水) 15時15分
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