アウディ Q5 40 TDI quattro《撮影 島崎七生人》

◆ディーゼルの知見をもつアウディ

遡るとアウディ『100』(『A6』の前身)の時代に、2リットル5気筒ディーゼルが日本市場にも正規輸入されたことがある(1979年の“L5D”)。その後、直噴ターボディーゼルのTDIが開発され、4気筒、V6、V8と展開。アウディによればこのTDI搭載車の累計生産台数は800万台以上という。


ざっと前述のような経緯と知見をもつアウディが送り出す、新時代のクリーンディーゼルが『Q5』に搭載されるパワーユニット“EA288型”だ。電子制御コモンレール式燃料噴射システムのほか、尿素SCRシステムも採用。これによってEURO6や日本のポスト新長期規制もクリアさせている。

AdBlue(尿素水溶液)の消費量の目安は24リットルで1〜2.5万kmとのことで、残量が少なくなると警告があり、万一、残量がゼロになると、その状態のままではエンジン停止後の再始動ができなくなる。

◆とにかくスムースネスに徹している


試乗車は車載のスペックシートによれば、アダプティブエアサスペンション、19インチアルミホイール&タイヤを装着。車両価格が780万円となる個体だった。外観は写真でもおわかりのとおり、肩肘を張らないあっさりとした雰囲気をもつ。ボディは全長×全幅×全高=4680×1900×1640mmと、たとえ日常的に乗りこなそうとしても抵抗感を抱かないで済むサイズ感で、最小回転半径も5.5mと扱いやすいものだ。

走らせた印象は、とにかくスムースネスに徹しているということ。レポーター自身『Q5』自体の試乗は日本導入時(2017年9月)以来だったが、当初に較べクルマ全体がよりこなれて感じられた。

エアサスペンション仕様ということもあり、乗り味は路面の影響を受けにくくフラットで、振動やロードノイズの伝わりかたも小さく、さり気なく高級感が実現されている。もちろんそうした快適性、静粛性の高さは、ディーゼルエンジンを搭載しながらも実現されている……という点でも注目に値し、アイドリング時にアクセルペダルから右足の靴底に伝わるごくごく小さなプルプルした振動で、クルマが“起きている”ことがわかるほど、といったところ。

◆1.9トンでも身軽な走りを実現


190ps/40.8kgmのエンジン性能は、7速Sトロニックとの組み合わせで、これもスムースで扱いやすい。発進から力強いのはディーゼルならではだが、そのまま排気量の大きなエンジンのような意のままのストレスのない加速を披露してくれるのが嬉しい。

ターボチャージャーに可変べーンを採用することで、この自然でスムースな加速フィールが得られていると思われる。停車中の車外でこそディーゼルエンジン特有の音がするも、ボリュームは小さく、走行中の車内であれば、よほど“聞き耳”をたてなければ、エンジンを意識させられないのも特徴だ。

1920kgの車重を考えれば、低速でも高速走行でも身軽な走りを実現している。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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