ヴァレオが出展して実演していた第2世代LiDAR「SCALA2」

フランスの大手自動車部品メーカーであるヴァレオは、人とくるまのテクノロジー展2019名古屋の特設会場で開催された企画展に出展。2020年より量産を開始する同社の第2世代LiDARである「SCALA2」を展示し、さらにその先のMEMS型の第3世代モデルにも触れた。

ヴァレオは自動運転関連や48Vの関連のテクノロジーで他社をリードしていることで知られるが、LiDARについてはレベル3自動運転を実現したアウディA8に搭載。世界で初めて量産車にLiDARを提供するメーカーになったとして一躍有名になった。とはいえ、その製品はヴァレオにとって第1世代であり、今となっては世の中の関心は第2世代の「SCALA2」へと移り始めているというのが実際のところでもある。今回の出展ではその状況をアピールするための出展となっていた。

会場では実際に動作する「SCALA2」のデモが行われていた。この製品の実力は第1世代に比べて飛躍的に能力が高められているのが特徴。検知範囲は300m先にまで及び、車両であれば150m、歩行者なら50m〜70m付近での存在を検知するだけの能力を備えているという。この日、対応してくれたヴァレオジャパンCDVビジネス開発部の西田 豊氏は「特に縦方向の視野角は第1世代の3倍にまで広がったことで白線までもしっかりと把握できる能力を発揮できている」と話す。また、「コスト的にも第1世代とほぼ同じというのも大きなメリット」(西田氏)だとした。

ただ、この「SCALA2」までは、過去にレーザースキャナーの開発で提携していたibeo社との間で生み出されていたものなのだという。その関係がなくなった今、ヴァレオはレーザースキャナーの将来性を見込み、第3世代の製品開発に独自に取り組み始めた。しかも開発するのは、今や多くのスタートアップ企業までも手掛けるMEMS方式と正式に決まった。西田氏によれば、「MEMS方式を採用することで解像度はさらに向上するが、その一方で距離を長く取れないという弱点もある。弊社の開発ではこの克服が最大の課題でもあり、それをクリアするために本腰を入れている最中だ」(西田氏)という。

いずれにしても、高度な安全運転支援や自動運転機能を実現するためにLiDARは欠かせない重要なアイテム。ミリ波レーダーはコストこそ安価で手に入るが、距離を稼げば検知範囲がどんどん狭くなる。広範囲に距離が測れるという点ではLiDARに勝るものがないというのが現状なのだ。ヴァレオがMEMS方式でのLiDAR開発に本腰を入れることで、LiDARの勢力図が大きく変化する可能性もある。その成り行きには大いに注目していきたい。

会場では「SCALA2」を動作させて、検知範囲の広さをアピールしていた 「SCALA2」の解説パネル ヴァレオジャパンCDVビジネス開発部の西田 豊氏