ルノーのスナール会長《中継画像から》

仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長は6月25日に横浜市で開かれた日産自動車の定時株主総会で、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との経営統合が白紙となったことについて「世界のライバル会社が一番喜んでいる」と指摘した。

スナール会長は4月の日産の臨時株主総会で同社の取締役に就任し、25日の定時株主総会でも再任となった。同日の総会では株主から、FCAとの経営統合は提携先である日産への背信行為ではないか、などと質された。

これに対し、スナール会長はFCAとの統合は「日産にとっても大きなメリットが認められ、将来に向けて素晴らしいチャンスだった」と述べ、ルノーと日産および三菱自動車の3社連合にも効果が期待できたとの認識を示した。統合交渉については「中止している」とも表現し、再交渉への意欲もにじませた。

また、日産が25日の株主総会で承認を得た「指名委員会等設置会社」への移行について、一時ルノーが採決を棄権すると表明していたことに関しては「日産からルノーに派遣されている取締役の処遇と平等になるよう求めただけ」と釈明した。日産が発足させた指名委員会等設置会社では、当初、スナール会長のみが指名委員会の委員に内定していたため、ルノーは、新たに日産の取締役に就任するティエリー・ボロレCEOのポストも求めた。

結局、ボロレ氏は25日に監査委員会の委員に任命された。経営の執行や監督についてのルノーとの関係に関しては、同日の株主総会で西川廣人社長が「両社で利害が対立する場合はかなり議論するし、(採決からルノーが)離れていただくこともある。そこは明確にルールを決めている」と説明した。

スナール氏はさらに、4月に日産の取締役に就任する際に表明した「日産への期待や、日産と日産の従業員の幸せのために尽くす」ということは「何ら変わっていない」と強調した。自らの日産でのポストについては、「日産との関係を重んじるために、会長になることをあきらめた」とも表明した。

3社連合首脳(左からボロレCEO、スナール会長、西川CEO、益子CEO《撮影 池原照雄》 ルノーのスナール会長(株主総会)《写真 日産自動車》