BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)《撮影 宮崎壮人》

輸入セダンの主役とされるBMW『3シリーズ』がフルモデルチェンジを行った。外観は先代型に似ているが、全幅は少し拡大されて1825mmになった。ボディスタイルは水平基調だから、最近のセダンの中では視界が優れた部類に入る。

運転席に座ると、先代型に比べて、BMWらしい引き締まった印象が薄れた。その代わりドライバーを拘束するような堅苦しさも和らいでいる。インパネの中央部分は以前ほどドライバー側に傾けておらず、助手席の乗員の疎外感を抑えた。

天井は先代型と同じく低めだから、後席に座ると腰が落ち込んで膝が持ち上がる。それでも座面は柔軟になった。前後席ともにBMWのスポーティな個性は薄れたが、セダンのリラックス感覚を身に付けている。

乗降性はあまり良くない。後席は天井が下側に向けて下降するから、頭を下げて乗り降りする。サイドシル(乗降時に跨ぐ敷居の部分)の段差も大きめだ。

試乗車は「330i Mスポーツ」で、エンジンは直列4気筒2リットルターボながら、4リットル並みの性能を発揮する。特に4000回転を超えた加速が活発だ。直列6気筒ほど滑らかではないが、動力性能は十分だ。

操舵感は先代型に比べると、ハンドルを回し始めた時の反応が少し穏やかになった。シートの座り心地と同じく、リラックス感覚が伴う。乗り心地は少し硬めだが、角が丸く不快感を与えない。

助手席の疎外感を抑えたインパネ、座り心地を向上させたシート、快適になった乗り心地など、新しい3シリーズは落ち着いた印象だ。それだけではメルセデスベンツ『Cクラス』に近づくが、峠道のカーブを回り込んでいくと、重心の低さと操舵角に応じて良く曲がる3シリーズの特徴も味わえる。

新型になっても外観の変わり映えは乏しく、特に性能を高めた印象も受けないが、走りを熟成させた。先代型に比べると馴染みやすく、幅広いユーザーがBMWの特徴を楽しめるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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