フィアットの高性能車部門のアバルトは3月12日、アバルト『124ラリー』(Abarth 124 Rally)の2019年モデルを、イタリア本国で発表した。
同車は、アバルト『124スパイダー』をベースにしたモータースポーツ専用車両だ。アバルト124スパイダーは、フィアット『124スパイダー』をベースにしたアバルトの高性能バージョン。マツダ『ロードスター』と基本設計を共通にしており、生産もマツダの工場で行われている。アバルト124スパイダーは2016年、日本市場にも導入された。
アバルト124ラリーは2016年春、スイスで開催されたジュネーブモーターショー2016において、アバルト124スパイダーと同時にワールドプレミアされた。アバルト124ラリーのネーミングは、およそ40年ぶりの復活となる。アバルトレーシングチームが開発を担当し、2017年シーズンから、実戦投入された。現在はFIA(国際自動車連盟)の「R-GTカップ」に参戦しており、アバルト124ラリーは2018年シーズン、このR-GTカップを制している。
アバルト124ラリーの2019年モデルでは、さらなる戦闘力の強化を目指して、改良を実施。過去2年のレースシーズンから得た多くのデータを反映しながら、アバルトのエンジニアリングチームが、5000kmに及ぶ走行テストを含めた開発作業に取り組んだ。
◆300hpを発生する1.8ターボにはトルク特性を向上させるチューニングを実施
エンジンは、市販車のアバルト124スパイダーの1.4リットル直列4気筒ガソリンターボ「マルチエア」(最大出力170hp、最大トルク25.5kgm)に代えて、引き続き直噴1.8リットル直列4気筒ガソリンターボを搭載する。アバルトレーシングチームのチューニングにより、最大出力300hp/6500rpmを引き出す。
2019年モデルでは、このエンジンが、トルクカーブをよりリニアにするためのチューニングを受けた。トルク特性はすべてのエンジン回転域でより充実しており、とくに低速域からパワーが必要な場合に効果を発揮する。アバルトによると、たとえばヘアピンからの立ち上がりなどで、有効だという。
◆トランスミッションを改良。トラクション性能の引き上げも図る
トランスミッションの開発部門は、デファレンシャルに焦点を当てて改良を実施。新しいロッキングキャリブレーションを導入する。トラクションコントロールシステムには、ハイ、ミディアム、ローグリップ、ウェットの4種類のマッピングを採用し、タイヤのグリップ状態に応じて、最適な駆動トルクを得られるようにした。
ギアボックスは、操作性とシフトチェンジスピードの向上を目指してチューニングされた。加速時のギアのつながりが改善されるとともに、リアアクスルのロックを防ぎ、よりスムーズなシフトダウンを可能にする。
◆最低地上高を40mm引き上げた未舗装路向けの「グラベルロードキット」を用意
2019年モデルには、未舗装路での走行向けの「グラベルロードキット」をラインナップする。2019年モデルの開発では、グラベルを走行するために必要なすべてのコンポーネントを含めた特別なキットを用意し、グラベル向けのセットアップにも焦点を当てた。荒れた路面でも、タイヤと路面のコンスタントな接触を維持し、トラクションとロードホールディング性を向上させるのが狙いだ。
グラベルロードキットでは、最低地上高が40mm引き上げられた。また、グラベルロードキットには、18インチホイールの代わりに、専用の15インチアルミホイールとブレーキディスクを設定した。アバルトは、とくに荒れた路面でのグリップを最適化する、としている。
マツダ ロードスター と兄弟、アバルト 124 の「ラリー」が戦闘力を向上
2019年03月14日(木) 12時45分
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