江戸川区の環七通りからもほど近いピッコロカーズ。その名の通り小型車の中心に扱い、そんなクルマの楽しさを多くの人に紹介している。《撮影 中込健太郎》

そのレトロなルックスから人気のフィアット『500』。最近「デュアロジック」トランスミッションの修理入庫のクルマが多くなっているという。東京都江戸川区の自動車販売店「ピッコロカーズ」では、デュアロジックの修理プログラムを用意している。

「もともと2代目『パンダ』が加速度的に台数を減らしていることに危機感を覚えたのが、このプログラムを用意したきっかけでした。流通価格の事情から、壊れて修理再生されることなく廃車されていくクルマが多いのを見ていられなかったんです」と話すのはピッコロカーズの竹門代表。

デュアロジックは、フィアット500を始め、パンダ、『プント』、ランチア『イプシロン』等に搭載されているトランスミッションだ。これの故障原因の多くは、オイル漏れがソレノイドやセレクトセンサのカプラ部分に及ぶことで起きる、電気的な不具合だという。この症状を改善するためには、一般的には各ユニットのアッセンブリ交換が必要とされ、これをディーラーで行うと相当の費用を要する。

「輸入車の中では比較的安価なクルマ、しかもそこそこ年式が経って流通価格もかなり安くなってきた状況で、1台買い直すのに近い費用を支払ってトランスミッションを直すという選択をしないユーザーがいるのも無理のないこと」と竹門さんは話す。

「でも、アッセンブリー交換ではなくとも、修理でも直るんです。もっと耐久性や精度の高い部品などを使用して、安価なだけではなく価値あるリフレッシュを提供したいと思ってスタートさせたプランです。メカニズムは2代目パンダと共通で、人気も高い500シリーズにも年式の古いものが増えてきて、最近は相当数の依頼を常にいただいています」

ピッコロカーズのプログラムでは工賃消費税込みで11万7720円。ほかにオイルなどが別途必要。ディーラーでのアッセンブリー交換だと、部品代でも30万〜40万円かかる内容だ。

「この時代のフィアットは元気に走る。運転している人間も元気にしてくれるんです。そんな魅力を一人でも多くの人に知ってもらえたら」と最後に目を細めて本音をこぼした。

かわいいロゴが目を惹く。《撮影 中込健太郎》 問題のデュアロジックユニット。この不具合で、降りてしまう人、あきらめてしまう人も少なくないという。《撮影 中込健太郎》 ピッコロカーズが提案する修理メニュー。《撮影 中込健太郎》 直すのであって、交換ではない。したがって、トータルでも三分の一程度に費用を抑えることができるという。《撮影 中込健太郎》 「症状に応じて、部分的なメニューも用意、また、それ以外のリフレッシュについても相談してほしいと話す」竹門代表。《撮影 中込健太郎》 取材の当日も、走行に支障の出た500が入庫してきた。だましだまし走っても、途中で立ち往生する可能性もあるので、可能であればできるだけレッカーを利用しての持ち込みを奨めているのだそうだ。《撮影 中込健太郎》