スバル フォレスター Advance《撮影 雪岡直樹》

2.5Lの自然吸気エンジン、そして2.0L自然吸気にモーターを組み合わせた「e-BOXER」と呼ぶハイブリッドでふたつのパワートレインが用意された新型フォレスター。注目のハイブリッドはこれまでテストコース内での試乗だけに限られていたが、発売を9月14日に控え、ついにナンバー付きの試乗車両を一般公道で試すことができた。

“電気で走っている感”は薄い

まず前提となるのは、モーターは出力10kW/トルク65Nmと出力は控えめでトヨタ式のハイブリッドなどに比べると電気で走っている感は薄いこと。エンジンを停止しての、いわゆる「EV走行」の領域も限られているから、力強いモーターを積んだハイブリッドに慣れている人は違和感を覚えるかもしれない。

いっぽうでいかにもハイブリッドらしい走行感覚が好みでない人にとっては、「e-BOXER」は受け入れやすいハイブリッドのはずだ。走行フィーリングはそれらのハイブリッドに比べると純エンジン車に近いからである。今回、SUBARU(スバル)は「e-BOXER」のことを“モーターアシスト”とし、表立って“ハイブリッド”と呼ばない理由もそのフィーリングにある。絶対的な動力性能に関しては、2.5Lモデルのほうが力強い。モーターによるアシストは500ccの排気量の差を埋めるまでには至らないのだ。



快適性で大きなメリット

では、「e-BOXER」のメリットはどこにあるのか? 最大のメリットは市街地走行における快適性だ。たとえば信号待ちから発信する際、純ガソリン車はアイドリングストップ状態からドライバーがアクセルを踏むと同時にエンジンが再始動してから発進するのでせわしないが、「e-BOXER」ならエンジン停止状態からまずはモーターで走り出し遅れてエンジンが再始動するのでスムーズなのだ。そんな違いは些細なものと思うかもしれないが、乗り比べると“快適性がかなり違う”ことを実感する。とくにドライバーよりも同乗者にとってその恩恵が大きい。

今回は夏の気温の高い日の試乗だったのでエアコンとの兼ね合いもあって長い信号待ちでは動き始める前にアイドリングストップを切り上げてエンジンが再始動するシーンも多かった。そんな状況では、エンジン再始動時にスターターの音が響く純エンジン車に対し、ISGでエンジンを再始動する「e-BOXER」はエンジンがかかる際の音が静かなのも快適性を高める長所だ。

街中では、発進や低い速度からの加速時にモーターアシストによるトルク増幅で加速も心地よくスムーズ。加えてゴー&ストップを繰り返すシーンではエネルギー回生を有効におこなえるから燃費が向上するのも「e-BOXER」の純エンジン車に対してのメリットである。

もしパワートレイン選びに迷ったら、クルマを使うシーンが高速道路や峠道主体なら純エンジン車の「Touring」「Premium」そして「X-BREAK」。街中での移動が多いならハイブリッドを搭載したグレードの「Advance」がオススメだ。ちなみに新車購入時は免税措置などにより、実は2.5Lガソリン車の最上級グレード「Premium」とハイブリッド車の支払総額の差はほとんどない。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

<プロフィール>
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。愛車はフランス製ホットハッチとディーゼルのSUV。

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