トヨタ クラウン RS Advance《撮影 島崎七生人》

“復権”が命題だったという。現実問題として販売台数を戻し、もはや外来種ではなくなったドイツ勢に対し存在感をアピールし直すことは『クラウン』の伝統を守るために必要不可欠な姿勢、という訳だ。はたしてその成果は?

試乗車は「RSアドバンス」。シリーズの中でもスポーツ性が打ち出しのグレードで、試乗会会場に用意されていたのが2リットルターボ搭載車(ガソリン車)ということは、まずは新型の走りの素性をじっくりと確認せよ……とのメッセージだと受け取った。

スペックを当たると、リヤパフォーマンスダンパーとフロアブレースが追加されるほか、フロントスタビライザーは専用、サスペンションはリニアソレノイド式AVS、さらにホイール&タイヤは18インチが標準装着となっている。またドライブモードセレクトのモードと設定幅が広がるのも特徴だ。

走らせた印象は非常に“すっきり”としたものだった。1750kg(試乗車)の身軽さとボディ補強が効いているのは確かだが、決して型にはめられているようなところがなく、自然体の身のこなしが印象的だった。ステアリングの切る/戻すに対する反応、感触もしっとりとしており、乗り味のカドも十分に丸められ、スポーティながらしなやかな走りが保たれている……といったところ。

エンジン性能は245ps/35.7kgmと十分なものだが、例により洗練されたマナーの8速ATにより、シーンを問わず変速はなめらかで、アクセル操作に対する加速感も自然で、やや速めの加速を試せば、胸のすく加速感とエンジンの回転フィールも味わえる。

外観はフロント回りについては「見るからにクラウン」で、ディテールの凝り方は先代よりもこなれて見える。6ライト(レクサス『LS』もそうだが、厳密に言うと8ライトという見た目のビジーさが個人的には少し気にかかる)の採用で大きくイメチェンされたサイドビューは意欲的で、クラウンらしからぬ軽快さを醸し出している。

インテリアは、運転席ドアにトランクオープナーのスイッチを残しているほかは、デザイン的にはまったく新しいが、現代的なセンスでまとめられ、仕上げのクオリティにはまったく心配は要らない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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