気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2018年8月10日付
●完成車検査不正拡大、スズキ、マツダ、ヤマハも、燃費・排ガス規定外方法で(読売・1面)
●パイオニア提携交渉、カーナビ不振で(読売・8面)
●米自動車輸入制限日本揺さぶり、農畜産TPP以上警戒(毎日・7面)
●車業界不正の連鎖、データ処理感覚頼み曖昧検査、国交省、省令改正へ(毎日・8面)
●ライドシェア規制の波、NYが制限ウーバーなど成長に影(日経・11面)
●eスポーツトヨタ動かす、視聴者3億人、広告効果大きく(日経・13面)
●ブリヂストン、下方修正、今期純利益6%増、タイヤ生産追いつかず(日経・15面)
●昭和シェル、今期大幅増配、出光との統合交渉にらみ(日経・15面)
ひとくちコメント
スズキとヤマハ発動機、それにマツダの3社が、出荷前の新車の排ガスや燃費を測定する検査で、国の規定にそぐわない方法で行っていたことが、国土交通省から指示された社内調査で判明した。長期夏季休暇に入る前の8月9日、3社が都内で相次いで記者会見を行った。
トップバッターはスズキで午後1時から東京駅近くの貸会議室。午後3時半からはヤマハ発動機が浜松町の自動車会館内の記者クラブ、そして午後5時半からはマツダが西新橋の貸ホールで行った。決算発表などではよくあるが、不適切処理の問題で同じ日に3社の会見をハシゴするのは極めて異例のことである。
それはともかく、きょうの各紙も「完成車検査不正拡大」(読売)、「スズキ、30車種で検査不正」(朝日)などと、読売、朝日の2紙が1面トップで報じたほか、毎日も1面で「スズキ検査不正6400台、排ガス・燃費マツダ、ヤマハ発も」と取り上げている。だが、産経、東京、日経の3紙は1面ではなく2面や3面の総合面での扱いである。
3社の記者会見で印象に残ったことは「チェック体制が機能していなかった」(スズキ・鈴木俊宏社長)との発言や「悪いことをしているとの認識はなかった」(ヤマハ発動機・渡部克明副社長)。それに「システムに甘さがあり、意図的ではないく、不正とは考えていなかった」(マツダ・菖蒲田清孝専務)などと強調している点。さらに、3社とも測定データの改ざんはなく、再検査の平均値も届け出た水準から外れた例はなくリコールの必要はないと判断したことである
また、海外メディアからは「リコールもなく、不正でもないのなら、なぜ謝罪するのか」との質問もあったが、菖蒲田専務は「国から法令として定められたことをやっていなかったから」と、謝罪した理由を述べて「信頼を失わないように努めたい」と強調した。
完成車の検査は本来国が運輸支局で検査する必要があるが、大量生産される市販車については検査に手間がかかるためメーカーが代行している。ただ、排ガス測定にはかなりの時間がかかり、メーカーもすべての車両を検査するのは物理的にも不可能。そこで国は一定の基準を定めて、検査方法を明確化することを条件に、抜き取り検査を認めている。いわば性善説にしたがっての自主申告のため、日産自動車やスバルではデータ改ざんの不正も発覚した。
ただ、スズキはともかく、不正が確認されたのはヤマハ発動機が335台中7台、マツダは1875台中72台と少ない。1台でも不適切といえば不適切なのだが、誤解を恐れずに言えば、、例えば、制限速度50km/hの道路を安全走行で長時間運転していても、一瞬アクセルを踏み込んで55km/hのスピートで走行したため、オービス(自動速度取締装置)に残っていたデータを解析しところ「違反」と指摘されるようなもの。
今回の3社に対して監督官庁の石井啓一国交相は「極めて遺憾」とのコメントを出したというが、仮に、重大事故の原因につながほどの悪質な違反ならばともかく、品質検査制度の仕組みそのものが「時代遅れ」との声もある。グローバルに見合った制度の見直しも必要ではないだろうか。
完成車検査問題でスズキ、ヤマハ発、マツダ3社同日発表[新聞ウォッチ]
2018年08月10日(金) 08時53分
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