ホンダ『クラリティPHEV』と開発責任者の清水潔氏《撮影 山田清志》

ホンダは7月19日、プラグインハイブリッド車『クラリティPHEV』(Honda Clarity PHEV)を20日から販売すると発表し、併せて報道陣向けの試乗会を開催した。その最大のウリはEV走行距離が114.6kmで、日常シーンのほとんどを電気自動車として使えることだ。

「上級ラグジュアリー志向と環境志向を高い次元でバランスさせ、何かを我慢することない中型環境車を目指した。高いEV性能や燃費性能、上質感、使い勝手の良いパッケージ、アイキャッチのデザイン、モーター走行ならではの静粛性、加速感など最大限に高めた」と開発責任者の清水潔氏は説明する。

確かに車内は『クラリティFCV』に比べて上質感に溢れ、試乗しても非常に静かで滑らかに加速していつの間にかスピードが出てしまう。しかも、バッテリーをフロントシートとリアシートにコンパクトに配置したことによって低重心となり、安定性も良く、ハンドルを切っても、振られることはない。文字通り、ホンダの自信作の車といっていい。

商品企画担当の森谷翔太氏も「今回のクラリティの販売を通じて、ホンダが電動化を進める幕開けをメッセージとして世の中に発信していきたい」と意気込む。しかし、その国内販売目標は年間1000台。『プリウスPHV』の販売目標が月2500台ということを考えると、本当に売る気があるのかと思ってしまうほどだ。

「ホンダは過去にもFCV、EV、PHEVも一応市場にラインナップしてきたが、すべてリース限定の販売だった。今回のクラリティPHEVは一般販売として売り切っていく。これはホンダとして初めてなので、そういうところからもホンダの本気度を感じて欲しい」と清水氏は強調する。

プリウスPHVは発売後1カ月の受注が5倍の約1万2500台と出足が好調だったが、2年目に入ると目標を下回る状態が続いており、18年1〜6月の販売実績は約7200台と目標の半分以下にとどまっている。そんなことを勘案して低めの目標設定をしたのかもしれない。

しかし、開発陣の自信作で電動化の幕開けを訴える車なら、強気の目標設定をしてもいいだろう。年間1000台ではホンダの本気度に疑問符が付いても不思議ではない。

商品企画担当の森谷翔太氏《撮影 山田清志》 『クラリティPHEV』の車内《撮影 山田清志》 フロントシートとリアシートの下にコンパクトに配置されているバッテリー《撮影 山田清志》