新型スペーシア カスタム

スズキ『スペーシア』が12月14日、初めてのフルモデルチェンジを果たした。その中で安全装備として注目したいのが「スズキセーフティサポート」だ。新型では従来のシステムを一新してその範囲を後退時にまで拡大。これでうっかりミスの大幅低減に寄与することとなった。

新型ではスズキセーフティサポートを、単眼カメラと赤外線センサーを組み合わせた『デュアルセンサー ブレーキサポート』とした。システムはドイツのコンチネンタル社製で、基本的にはトヨタの「セーフティセンスC」に使われているのと同じものだ。このユニットでは「ハイビームアシスト」に加えて新たに「標識認識」にも対応し、安全面や便利さを追加することとなった。

また、これとは別にリアバンパーに装備した4つの超音波センサーを使うことで、車両後方の障害物を検知できる。アラーム音で障害物への接近を知らせると共に、衝突の可能性が高まると自動ブレーキが作動するもので、これは軽自動車初の機能になるという。もちろん、後方誤発進抑制機能も装備している。

フロントガラス投影式のヘッドアップディスプレイの搭載も軽自動車初の機能だ。全方位モニター用カメラパッケージ装着車に装備されるもので、速度や分岐点案内、前方衝突警報などを表示する他、進入禁止の標識を読み取ってその表示も行って警告する。ただ、進入禁止の標識を表示時にアラーム音は特に鳴らないようだ。

もう一つの軽自動車初は、クルマの周囲360°を立体視できる3Dビュー機能だ。これも全方位モニター用カメラパッケージ装着車に装備される。表示アングルを連続で変えられるので死角をなくすには最適な機能とも言える。

さて、冒頭に紹介したスズキセーフティサポートだが、スズキは現状で大きく4タイプを用意する。一つはアルトやラパンなどに搭載する「レーダーブレーキサポート」と、旧スペーシアやハスラーなどに搭載しているステレオカメラの「デュアルカメラブレーキサポート」、バレーノやエスクードで搭載するミリ波による「レーダーブレーキサポート2」、そして新型スペーシアで採用した「デュアルセンサーブレーキサポート」だ。

スズキは今後どのタイプをメインに考えているのだろうか。情報・予防安全開発部の千葉光弘氏は「どれがメインと言うことは意識していない。クルマごとに最適なものを選んで搭載しており、新型スペーシアではハイビームアシストに対応したかったのが理由」とデュアルセンサーブレーキサポートを採用するに至った背景を話す。

一方で、新型スペーシアはホンダ『N-BOX』が採用したオートクルーズコントロール(ACC)は搭載しなかった。これについて千葉氏は「(ACC搭載を)考えなかったわけではない。しかし、軽自動車の場合、ミリ波レーダーを取り付けるスペースがほとんどなく、N-BOXも苦肉の策でフロントバンパーの運転席側にシフトして取り付けたと聞いている。今後、ユーザーの声を聞きながら対応を考えていきたい」とした。

新型スペーシア 「デュアルセンサー・ブレーキサポート」はフロントウインドウの上部に装着される 後退時でのブレーキサポートをしたのは軽自動車初 後退時ブレーキサポートで機能する超音波センサー 軽自動車として初めてガラス投影式のヘッドアップディスプレイを採用した デュアルセンサー・ブレーキサポート カメラが進入禁止の標識を読み取りヘッドアップディスプレイに表示する 軽自動車初の搭載となった3Dビュー 「3Dビュー」は自車を斜め上から見たように表示する 後退時は自車周辺を360°映し出すのに加え、バックカメラはステアリングに連動してガイド線が出る 3Dビューや全方位モニターに役立つカメラは、運転席側ミラーにも装着される 新型スペーシアの発表会風景