3代目となる新しい『X3』を見ての第一印象は「ん?変わった?」であった。よく見れば各所が更新されているのだが、特徴的なキドニーグリルとそのシルエットからは大きく変わったという印象は受けない。それくらい、デザイン的には保守的なモデルチェンジとなったX3だが、中身はかなり挑戦的だ。
X3はその名の通り『3シリーズ』クラスのSUV。初代、2代目は3シリーズのプラットフォームを使用して作られたが、新しいモデルは『7シリーズ』や『5シリーズ』との共通性の高いプラットフォームに変更されている。(もっともこのプラットフォームがいずれは3シリーズにも導入されるのであろうが)
乗り出して感じるのは、いかにもBMWらしい走りのポテンシャルが与えられていることだ。シャシーやボディはカッチリしたもので、SUVとは思えないほどに引き締まり感にあふれたピシッとした印象。ステアリングやシートに伝わってくる振動やキックバックが正確な印象で、いわゆるSUV的なゆるさを感じることがない。イメージとしては背の高いセダンである。
日本仕様に用意される搭載エンジンは2リットルの直4ディーゼルターボで、最高出力は190馬力、最大トルクは400Nm。その400Nmはわずか1750回転で発生している。トルク特性そのものは低回転からググッと盛り上がるディーゼルらしいものだが、振動や騒音というレベルはガソリン的。車外で聞くとそれなりにディーゼル感があるが、社内での静粛性は高い。
アクセルを踏んでいくとグッと力強く発進し、そのままグングンスピードを上げていく。シャシーはそのスピードに追いつくだけのしっかりした性能を持っていて、クルマの安定感はつねに一定している。路面がうねった場面でもボディはフラットさを保っている。コーナリングではこれでもかというほどにロールが抑えられ、BMWはSUVではなくSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)だと主張する場面がうかがえた。
3シリーズセダンが419万円〜、ワゴンのツーリングが441万〜であることを考えると、ボトムプライスが639万円のX3はもはや別クラスのクルマと考えたほうがいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
【BMW X3 試乗】見た目は保守的、だが中身はかなり挑戦的…諸星陽一
2017年12月13日(水) 20時00分
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