シトロエン C3 SHINE《撮影 島崎七生人》

個人的に選ぶならサーブル(褪めたベージュ)かアーモンドグリーンなどのペールトーン。もう購入同然の気分でこんな原稿を書いているほど、気になっていたクルマだった。やっと試乗が叶い、もちろん小躍りしているところ、ではある。

『C4カクタス』の存在が既視感を煽るのは当然で、とくにフロント回りは個別に見たら区別がつかない。ただしダブルシェブロンの左右にメッキのバーを伸ばした薄いグリルは、『C4ピカソ』などと共通の最新のシトロエンのデザイン要素でシトロエンのラインアップの本流であることの表現か。ちなみにリヤのダブルシェブロンはフロントとは異なる、メッキの縁取りに黒の挿し色を入れたもので、これはカクタスのフロントと共通パーツか!?

ボディサイドの特徴のひとつ、エアバンプも、板チョコを貼り付けたようだった“カクタス”のそれに対し、位置を下げ、突起部のデザインは専用。とはいえ、前後ホイールアーチとドアシル部分に装着された黒い樹脂ガードは、非SUVのコンパクトカーとしては個性的なあしらいだ。

インテリアもカクタスの面影を残すも、メーター、シフト(カクタスはボタン式)など常識的なデザイン。全体の質感はコスト配分にメリハリを効かせた…といった風で、打ちっ放しインパネのアッパーフェイシアは、光の加減で表面のややチープな樹脂感が気になる。トランクは意外にもフルトリム(フィアット500などは後席背面が鉄板むき出しだ)で、深さもあり実用になる。後席も大人にも必要にして十分なスペースを確保している。

走りは3気筒の1.2リットルに6速ATの組み合わせだが、ターボのおかげでカクタスのような“もうひと息感”は味わわずに済む。街中から高速までソツなくこなす。そしてシトロエンといえば重要なのが乗り味だが、基本、シトロエンの“タオッ!”とした乗り味にはなっているものの、クルマが大きめに揺れた際に少しピッチング気味に揺れるのは、もっとゆったりとしたバウンジングのほうがいいなあ…と感じた。シートも前席はクッションのストロークが少なめで、記憶が頼りになるなら、カクタスのほうがもっとフカッ!としていたはずだ。

試乗車は上級グレードの「SHINE(シャイン)」で、スマートフォンとの連携、動画撮影可能なフルHDカメラ(コネクテッッドカム)を標準搭載。今どきの装備ではあるが、それであれば、低価格の実現のなかで、ヘッドランプが電球色のハロゲンであること、単音のホーンがショボいことなどの手当てを優先してほしいところ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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