ホンダ・グレイス・ハイブリッドEXホンダセンシング《撮影 諸星陽一》

『グレイス』という車名を聞いて、すぐにクルマを思い浮かべることができる人はどれほどいるだろうか。2014年に登場した歴史の短いモデルだからしかたがないが、ベースはアジア地区などで発売されている「シティ」で基本構造が同じ車種。

ただし、グレイスは独自の日本仕様で、シティよりボディ剛性や静粛性が高められている。シティベースというより『フィット』のセダン版がグレイスで、今回のフィットのマイナーモデルチェンジと同様に安全運転支援システムのホンダセンシングを採用したのがポイントだ。

横浜で行われた試乗会はフィットとグレイスの同時開催。フィットの後に「グレイス ハイブリッドEXホンダセンシング」に乗ることになったが、運転席に座るとフィットに乗っているかのように錯覚。インパネやステアリングなどの基本デザインが同じで、ハイブリッドのシフトレバーも同一のデザインだからだ。

グレイスもフィットと同様にフロントグリルのデザインを変更。従来は太い光輝バーが左右のライトをつなぐようなデザインだったが、マイナーチェンジ後はバーを細くして明確なグリルが与えられたため、すっきりした顔つきになった。

もちろんハイブリッドEXとLXにはLEDヘッドライトが標準採用された。夕方の試乗のためライトオンで走ったがLEDヘッドライトは明るく、歩道寄りの左側も照らしてくれる配光のためナイトドライビングの安全性が高い。

ホンダセンシングは歩行者との衝突を回避することが可能だが、ドライバーが歩行者を早く発見できることも大切。その点、明るいLEDヘッドライトは予防安全に効果がある装備だ。

ハイブリッドの走行フィールはフィットとよく似ている。ハイブリッドの変速はよりスムーズになっていて、低速域や後退時にもDCTであることを感じさせない。車両重量はフィットより少しだけ重いが加速フィールに大きな差はなく、ピッチングを誘発しやすい道でのボディの動きのおさまりはフィットよりいい感じだ。

コンパクトセダンのなかでトップレベルの先進安全装備を採用したことは大きなアドバンテージ。ライバルの『カローラアクシオ』の自動ブレーキは歩行者に対応していないし、車線逸脱も警報にとどまっている。グレイスは目立たないコンパクトセダンだが先進安全装備が充実したモデルだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。

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