
音響システムを進化させていこうとする趣味の世界は、とかく“難解”だと思われがちだ。そしてそれが、ビギナーの壁となる。当連載は、その払拭を目指して展開している。現在は「インストール」に関連した分かりづらい用語や仕組みの意味や成り立ちを解説している。
◆電力消費量の多いオーディオ機器は、「バッ直」が必須!?
今回は、「バッ直」というワードにスポットを当てる。早速、結論から入ろう。バッ直とは、「車両のメインバッテリーからプラス電源を直接引き込むこと」を指す。この略称、というわけだ。
なおこの配線方法は、「外部パワーアンプ」や「パワードサブウーファー」といった電力を多く消費する機器を使うときに必須となる。なぜに必須となるのかというと、答はシンプルだ。「バッ直をした方が音が良くなるから」だ。
なおもしもバッ直をしないとしたら、プラス電源は例えば「メインユニット」の裏とかヒューズボックスとかから取ることとなるのだが、どこから取るにしてもそのプラス電源線には他の電装品もいくつか繫がることとなる。なのでそこからプラス電源を引き込むと、そこに繫がっている他の電装品の電力消費状況の影響を、オーディオ機器が多少なりとも受けてしまう。
◆ビートの効いた楽曲では、バスドラムが鳴らされる度に電力不足が発生する!?
というのも外部パワーアンプやパワードサブウーファーは、案外多くの電力を必要とする。なおその必要電力量は、刻々と変化する。瞬間ごとで、消費電力量が異なるのだ。特に低い音を力強く鳴らす瞬間には、大きな電力が消費される。例えばビートの効いた楽曲でバスドラムが1小節あたり1回ずつ打ち鳴らされたとして、その度に大きな電力量が必要となる。
しかし例えばプラス電源を引き込んだ箇所にウインカーが繫がっていたとすると、ウインカーを出すたびに外部パワーアンプには電力が多少なりとも不足する。そしてその瞬間ごとで少々音が痩せてしまう。
とはいえ、音楽の再生が止まることはない。なので電力が不足していることに気が付きにくい。でも、そこからバッ直をしてもしもその2つの配線状況の音を聴き比べると、違いが如実に現れる。
◆バッ直にはコストがかかる…。そして安全対策も必須に!
ところで、バッ直には手間がかかるのでコストもそれなりにかかってしまう。例えばメインバッテリーがエンジンルームにあり、メインバッテリーから車室内にケーブルを通したい辺りに適当なケーブルの通り道と成り得る穴が見つからないときには、そこに穴を開ける必要性に迫られる。
また、安全対策も怠れない。この点でもコストがかさむこととなる。というのもクルマではボディにマイナス側の電気が流れている。そうすることで配線の簡略化ができているのだが、その仕組みがあだとなることもある。ボディは絶縁されてはいないので、プラス側のケーブルがどこかで断線して導体がむき出しとなりボディに触れると「ショート」が起こる。
そしてひと度ショートが起こると、途中に抵抗となるものがなくなるので大量の電気が一気に流れる。結果、ケーブルの被膜は燃え出し最悪車両火災へと発展しかねない。なのでバッ直したケーブルの途中に(メインバッテリーの近くに)「ヒューズ」が仕込まれることとなる。この作業も必須となるのだ。
今回は以上だ。次回も「インストール」に関連する分かりづらい事柄の解説を続行する。お楽しみに。



