VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》

フォルクスワーゲンのコンパクトSUV、『Tクロス(T-Cross)』に設定された特別仕様車の「カッパースタイル」に試乗した。2019年の日本導入から4年、主力モデルに成長したTクロスは特別仕様車になって何がどう変わっただろうか?

◆「カッパースタイル」の違いは
カッパースタイルのベースとなったのは中間グレードである「TSIスタイル」。TSIスタイルはベーシックモデルの「TSIアクティブ」の装備に加えインテリアアンビエントライト、シルバールーフレール、スポーツコンフォートシート、205/60R16タイヤ→205/55R17、ACCなどが標準となるグレード。

カッパースタイルの場合は、スタイルではオプションとなるディスカバープロパッケージ、テクノロジーパッケージ、セーフティパッケージも装備される。結果として、最上級モデルの「Rライン」と比べて走行モードを変更できる「ドライビングプロファイル機能」や、Rライン専用エクステリア、ファブリックシート、ステアリング、ドアシルプレート、18インチタイヤなど走り系装備を除き、フル装備状態となる。

また、カッパースタイル専用装備として、ドアミラーカバー、ダッシュパッド、センターコンソール、カッパー(銅)色の6.5Jx17アルミホイールが装備されるのが特徴だ。

◆17インチタイヤのちょうどいいバランス
日本デビュー以来、機能的な面での変更はない。999ccの3気筒エンジンはターボによる過給で116ps、200Nmを獲得。このTクロスの試乗、じつはフォルクスワーゲンのオールラインアップ試乗会で乗ったのだが、『ID.4』の次の順であった。低速トルクにあふれるEVから小排気量ターボへの乗り換えだとさすがにちょっとトルク不足を感じる。

しかし、エンジン回転が上がってくるとそれもあまり気にならない。Tクロスのミッションは7速のDSG。マニュアル操作も可能で、変速を楽しみながらワインディングを走ることも可能。

以前に試乗したモデルは18インチタイヤを履く仕様で、タイヤががんばり過ぎてダンピングが足りない印象があったが、カッパースタイルは17インチタイヤを履き、タイヤとサスペンションのバランスがいいように感じる。コーナリングの限界は高くないが、コンパクトSUVと考えればちょうどいいレベルといえる。

◆「車格」にちょっと引っ掛かる
乗り心地は若干もの足りない。エンジンの振動が抑えきれていないのと、走行時にはタイヤからも微振動が侵入する。欧州車にはありがちなのだが、おそらく設計速度域が高いのだ。アウトバーンを走ることになる欧州車は高速での安全性を重視する。そうしたときに、低速域での快適性が若干不足してしまうことはありがちだ。これをそのままでよしとするか、なぜ日本向けにちゃんと仕様変更しないのか? と疑問に思うかはユーザーの判断となるだろう。

高速道路走行時はACCの性能を含めて十分に快適。路面が荒れている場合は、ザラッとした乗り心地になるが、車格を考えれば許容範囲といえる。しかし、この車格というのが、ちょっと引っ掛かるところ。リッタークラスのコンパクトSUVということで考えれば納得がいくが、車両本体価格が387万円と考えると、価格は少しお高いのではないかなと思ってしまうのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイル《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのラゲッジスペース《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのフロントシート《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのリヤシート《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのエンジンルーム《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのエクステリアで最大の特徴は、カッパー(銅)色のホイール《写真撮影 諸星陽一》 VW Tクロス カッパースタイルのインテリアには、カッパー(銅)色のパネルが使われている《写真撮影 諸星陽一》