ソーラーイエローのエレトレ。《写真撮影 関口敬文》

【ロータス エレトレ 日本発表】ロータス正規輸入代理店であるエルシーアイは9月1日、オールエレクトリックハイパーSUVのロータス『エレトレ』について、日本市場向け発表会を行った。発表会では実車が日本初公開となり、内装などがメディアに公開された。

◆大型SUVだがスポーツカーのDNAは随所に引き継がれている
まずエルシーアイ株式会社取締役管理部長の大谷氏が登壇。同社についての説明とエレトレの国内リリース時期などについて語った。

エルシーアイは2002年12月にロータス車両の専門の輸入会社として設立され約21年が経つ。ロータスを愛するオーナー、ファン、ロータス好きのディーラーなどに支えられ、今までに約5000台近くのロータス車両を輸入したとのこと。ロータスは過去に何度も資金的な危機に陥り、親会社も何度か変更されているが、ロータスの代名詞であるライトウェイトと軽快なハンドリングといったロータスの思想はずっと引き継がれている。2017年にボルボの親会社でもある吉利汽車の傘下になってからも、ロータス本社開発陣を中心として、スーパーハイパワーモデルスポーツカーの『エヴァイヤ』をはじめ、今年の7月より日本でも本格デリバリーが始まったロータス最後のガソリンモデルである『エミーラ』を開発した。

そして今回、ハイパワーモデルSUVであるエレトレを発表し、日本で初披露となった。大谷氏いわく、「エレトレは電気自動車でラージSUVということもあり、重量だけで見てしまうとライトウェイトではないと思われるかもしれない。だがロータス75年のスポーツカーのDNAは随所に引き継がれている」と自信を覗かせていた。

◆2024年の夏ごろには全国のディーラーに展示される予定
今回展示されている3台のエレトレは、プレスイベント用に期間限定で輸入されているため、日本のナンバーをつけることができない。また日本でUK仕様の急速充電ができないため、試乗会などの開催が難しい。ただし日本仕様の車が当初2024年の7月から量産スタートするとの話だったが、計画が前倒しになり2024年1月からスタートするとのこと。それが実現すれば、2024年の夏ごろには全国のディーラーに試乗車や展示車が用意される。また今回の3台については、ロータスが許諾してくれる限り、全国のディーラーやイベント会場に展示したいとのこと。

◆SUV特有の車高はデザインによってシルエットの中に巧みに隠されている
続いてロータスヘッドオブジャパン&台湾の寺嶋氏が登壇。エレトレの詳細について説明が行われた。

エレトレは、ロータスのビジョンページ戦略の第2弾として、初のライフスタイルビークルで世界初のオール電動ハイパーSUVだ。最上級のグレードの「エレトレR」では、最高出力が905馬力、そして0-100m加速が2.9秒といったハイパフォーマンスな性能となっている。

そして、ロータスのハイパーカーにインスパイアされたデザイン言語は、SUVセグメントのエレトレにもユニークなビジュアルと空力性能をもたらしている。英国を拠点とするデザインチームが作り上げたデザインは、「コーラスデザイン」と呼ばれており、車体の周囲を吹き抜ける空気によって車がえぐられたようなデザインが特徴。このデザイン言語はハイパーカーであるエヴァイヤ、そして新型のスポーツカーのエミーラ、そして今回のエルトレと、すべてで見ることができる。

エアフローはフロントフェンダーのベント、そしてCピラーのベント、そしてリアのエアロで管理がされている。SUV特有の高さはスポーツカーのDNAを受け継いでいるデザインによって、そのシルエットの中に巧みに隠されているのが特徴。ロングホイールベースとショートオーバーハングはダイナミックなスタンスをさらに強調して、快適な車内空間を生み出している。ドラマチックでシャープなノーズデザインは、LEDライトのグラフィックによってさらに強調され、エヴァイヤからインスパイアされたベンチュリトンネルは、リアホイールアーチからの高圧の空気を吐き出すように設計されている。

さらにルーフウイングレットは美しいビジュアルを生み出すだけでなく、高速の走行時においても安定性に貢献し、この安定性はアクティブスポイラーによってさらにサポートされる。LEDライトは角的で視認性の高いグラフィックを提供し、さらに外部充電のインジケーターとしても機能。フロントバンパー部分のアクティブグリルシャッターは走行状況に応じて開閉し、空気抵抗軽減と冷却効果を最適化する仕様だ。ドアハンドルは航続距離を伸ばすべく、空気抵抗を抑制するためにボディーラインに収められ、ドアロックが解除された時に引き出される構造になっている。

◆インテリアも最高のものが提供されている
インテリアは最高品質の材料とテクノロジーによって仕上げられている。15.1インチ高画質OLEDセンタースクリーンを採用し、スイッチ類は高級感あるメタルスイッチを採用。センターコンソールには収納スペースがあり、利便性を確保。固定式パノラマルーフからは自然光が降り注ぎ、車内の明るく広々とした感覚を高める。

エレトレは、すべての乗員が最高の音楽体験を楽しめるように、KEFと共同開発したふたつのオーディオシステムを提供している。KEFプレミアムは1380W、15スピーカーのサラウンドサウンドシステム、KEFリファレンスは2160W、23スピーカーのシステムで、3D サラウンドサウンドと省スペースUni-Coreテクノロジーが特徴だ。オプションではリアビューサイドカメラを選択することができ、フロントドアに追加されるふたつのスクリーンは、KEFのスピーカーの脇にあり、フロントドアのデザインと調和している。

リアシートは、標準仕様としては5人乗りだが、4人乗りのシート設定がオプションで用意されている。トランクスペースの容量は688リットル、5人乗りの場合、リアシートを倒すことで1532リットルまで増える。

◆テクノロジーとイノベーションが融合された最先端車両
エレトレは各車軸にモーターを搭載しており全輪駆動、そして先進アルミニウム合金は、熱間成形鋼とともに高強度鋼や超高強度鋼と組み合わされて剛性を高めているのが特徴。バッテリーは800ボルトのモジュールプラットフォームを採用し、350kWの急速充電を使用した場合には、20分で充電が完了、約600kmの走行が可能となる。

サスペンションは、デュアルチャンバー式エアスプリングで、車高と剛性を独立してコントロールすることが可能。アクティブエアサスペンションは車速に応じて最大25mm車高を下げることができ、空気抵抗を低減して航続距離を向上させる。また車高を15mmから25mmまで上げることができ、オフハイウェイでの走行性能を向上させる。電子制御ダンピングシステム(CDC)は、サスペンションにかかる荷重を1秒間に1000回の割合で連続的に測定し、1秒間に500回の割合で減衰力を調整している。

デジタルコックピットキャビンとして、ロータス初のLotus Hyper OSを搭載しているが、このOSにはゲーム業界で利用されている「UNREALエンジン技術」が世界で初めて採用されている。エレトレは安全性を高め、より快適な旅を実現するために、先進の運転支援システム(ADAS)を搭載している。そのために最先端のセンサーをフル装備しており、世界初となる4つの展開式ライダー、6つのレーダー、7つの8MP HDカメラ、12の超音波センサーを含む、合計34のセンサーが使用されている。

これらのセンサーを駆使することで、車両を取り巻く世界を360°見渡すことができるようにしているが、この膨大なデータをリアルタイムで処理するために、ふたつのNVIDIA Orin-Xチップが搭載され、500TOPS(1秒間に500兆回の演算)という驚異的な演算能力を発揮し、機能安全性を高めるフェイルセーフシステムアーキテクチャを提供している。このような技術水準と、ソフトウェアや機能の無線アップデートにより、エレトレは最新のADAS機能を提供するだけでなく、市場の規制が許す限りレベル4の自律走行機能を提供することが可能とのこと。

車両本体価格は、エレトレSが2332万円(消費税込み)、エレトレRが2585万円(消費税込み)。

ロータス車両を専門に扱うエルシーアイ株式会社の大谷氏。《写真撮影 関口敬文》 ロータスヘッドオブジャパン&台湾の寺嶋氏。《写真撮影 関口敬文》 ロータス・エレトレ日本発表《写真撮影 関口敬文》 カムイグレーのエレトレ。《写真撮影 関口敬文》 フロントグリル、ボンネットと非常に複雑なデザインが施されている。《写真撮影 関口敬文》 全高は1636mmだが、デザインのせいか低く見える。《写真撮影 関口敬文》 テールランプは横一本のLEDでデザインされている。《写真撮影 関口敬文》 22インチ 5スポークグレーダイヤモンドチューンドホイール+カーボンファイバーインサート入り。《写真撮影 関口敬文》 オプションのサイドカメラ。ガラスミラーに代わる後方カメラで、空気抵抗や風切り音を低減し、視界を確保する。《写真撮影 関口敬文》 サイドカメラの映像はドアパネルスピーカー横のモニターに映し出される。担当者のお話では、最初は少し慣れが必要とのこと。《写真撮影 関口敬文》 アクティブテールゲートスポイラー。中央部分は削られて短くなっている。《写真撮影 関口敬文》 リアラゲッジ容量は5人乗りの場合688リッター、4人乗りの場合611リッター。《写真撮影 関口敬文》 ラゲッジ右には車高を上げ下げするボタンを装備。《写真撮影 関口敬文》 車高が上がった状態。《写真撮影 関口敬文》 車高が下がった状態。《写真撮影 関口敬文》 空気抵抗低減のため、リアホイール後方からテールゲートに向けて空洞がある。リアのテールライト側からリアタイヤが見えている。《写真撮影 関口敬文》 エレトレのナンバーの下にあるのがアクティブフロントグリル。《写真撮影 関口敬文》 7つの開口部からなり、それぞれの開口部には6つの三角形の弁が付いている。《写真撮影 関口敬文》 弁が開くとこのような形に。これらは、パワートレインのEモーターとラジエーター、そしてブレーキへの冷却風を供給するために、必要に応じて開閉。寒い地域では熱を保つために閉めたままにすることも可能。《写真撮影 関口敬文》 シンプルな運転席周り。《写真撮影 関口敬文》 15.1インチHD OLEDセンタースクリーン。《写真撮影 関口敬文》 バッテリー残量が表示されている。《写真撮影 関口敬文》 スピードメーターはじつにシンプル。ドアのオープン位置などはアイコン表示されている。《写真撮影 関口敬文》 ワイヤレス充電機能付きトレイとツインカップホルダーを装備。《写真撮影 関口敬文》 センターのグローブボックス内部には、USB-Cの充電端子が2個と12Vアウトレット。《写真撮影 関口敬文》 助手席前にも液晶パネルがある。現在は時計表示になっている。《写真撮影 関口敬文》 アクセルペダルはオルガン式。《写真撮影 関口敬文》 12ウェイ電動調整式フロントシート。《写真撮影 関口敬文》 5人乗り仕様のシート。《写真撮影 関口敬文》 リアシート前にも8インチのモニターを装備。空調設定、座席調整、環境照明などの設定が可能。《写真撮影 関口敬文》 4人乗り仕様の後部座席。《写真撮影 関口敬文》 シートは背もたれの角度を電動で調整可能。《写真撮影 関口敬文》 センターにはコンソールボックスがあり、9インチのモニターが用意される。《写真撮影 関口敬文》 コンソールボックス内にはUSB-Cの充電端子が2個装備されていた。《写真撮影 関口敬文》 オプションの23スピーカーシステムの場合、リアのドアパネルにもドライバーが装備されているのが見える。《写真撮影 関口敬文》 15スピーカーシステム構成。《写真撮影 関口敬文》 23スピーカーシステム構成。《写真撮影 関口敬文》 フロントガラス部分にはカメラやセンサー類が見えていた。《写真撮影 関口敬文》 Bピラー部分にはロータスのロゴがあり、ここにカードキーをかざすとロック解除などが可能。《写真撮影 関口敬文》 エレトレR。オプションカラーのギャロウェイグリーン。《写真撮影 関口敬文》 リア部分。標準装備のカーボンパック装着モデル。フロントリップスポイラー、ロアリアディフューザー、サイドミラーケースがカーボンになっている。《写真撮影 関口敬文》 カーボンサイドミラーケース。《写真撮影 関口敬文》 会場にはエミーラも展示されていた。《写真撮影 関口敬文》 ロータス最後のガソリンエンジンモデルだ。《写真撮影 関口敬文》 ステアリングは電動式ではなく油圧式を採用。《写真撮影 関口敬文》 トヨタ製3.5リッターV6エンジンが搭載されていた。メルセデスAMGが開発した2リッター直列4気筒ターボエンジンのモデルもある。《写真撮影 関口敬文》