ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》

ポルシェ(Porsche)は、コンセプトカーの『ビジョン357スピードスター』(Porsche Vision 357 Speedster)を、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」において初公開した。


◆ポルシェ最初のスポーツカー『356 No.1 ロードスター』に敬意
1948年6月8日、ポルシェの名を付した最初のスポーツカーがナンバー登録を受けた。それが、オーストリア・ケルンテン州のグミュントで製造されたポルシェ『356 No.1 ロードスター』だった。コンセプトカーのビジョン357スピードスターは、ポルシェの最初のスポーツカー、356 No.1 ロードスターへのオマージュだ。

356 No.1 ロードスターによって、フェリー・ポルシェは初めて、現代的なスポーツカーという概念を具現化したという。プロトタイプの356 No.1 ロードスターは1948年6月8日、走行準備が整い、ケルンテン州政府はこの車に特別な公道走行許可を与えた。

356 No.1 ロードスターのミッドシップには、フォルクスワーゲン製の空冷1.1リットル(1131cc)水平対向4気筒ガソリンエンジンをチューンして搭載した。最大出力は35psに高められた。車両重量は585kgに抑えられ、最高速135km/hの性能を可能にしていた。非常用のコンバーチブルトップを装備。1948年8月には、インスブルックで開催されたロードレースに出場し、その優れたスポーツ性能を証明した。その後、量産化された「356」シリーズは1965年までに、およそ7万8000台が生産されている。

◆進歩的な未来への先見性を象徴するライト周りのデザイン
ポルシェのデザイン部門の「スタイルポルシェ」は、堅牢なデザインを現代に甦らせ、未来のデザインフィロソフィーを体現することを目指した。その特長といえるのが、進歩的な未来への先見性を象徴するライト周りのデザインだ。「フェリー・ポルシェの夢のスポーツカーが現在に甦るなら、どのような車になるか」。その基本コンセプトは、伝統と革新の相互作用の反映にあるという。

デザインは、創業当初からポルシェの伝説を構成する重要な要素だった。明確なビジョンを備えたコンセプトスタディモデルは、革新的なデザインの基礎を形成するという。ビジョン357スピードスターでは、ポルシェ356をベースにしたデザインDNAの重要性を強調している。ビジョン357スピードスターは、過去、現在、未来を融合する試みであり、プロポーションは歴史的モデルを連想させ、ディテールは未来への展望を視覚化しているという。

ビジョン357スピードスターでは、フロントウインドスクリーンの高さを抑えた。車体の右サイドには、かつてオープンスポーツカーによく見られたトノカバーが装着されている。その後方には、充電フラップが設けられた。運転席のヘッドレストは、カーボン製のロールオーバーエレメントによって、浮いているように見える。

◆パワートレインは『718ケイマンGT4』のEV版がベース
パワートレインやプラットフォームは、『718ケイマンGT4』をEV化した『718 GT4 eパフォーマンス』がベースだ。718 GT4 eパフォーマンスでは、前後アクスルに高性能モーターの「PESM」を搭載する。

システム全体で1088psのパワーを引き出し、4輪を駆動する。モーターやバッテリーを直接油冷する方式を導入し、熱による出力低下を排除した。レーシングモードでの出力は、30分間一定に保たれるという。900ボルトの急速充電テクノロジーを採用した。これにより、バッテリーの容量の8割を充電する時間は、約15分で済む、としている。

ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ・ビジョン 357 スピードスター《photo by Porsche》 ポルシェ 356 No.1 ロードスター(1948年製)《photo by Porsche》