ポルシェカレラカップ参戦車とフォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴのサポート車両《photo by VW》

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は5月11日、ポルシェ・ドイツ社が、新型EVミニバンの『ID. Buzz』をポルシェ・カレラカップ・ドイツのサポートカーとして導入した、と発表した。

◆ダークレッドの車体は1950〜1970年代のサポート車両がモチーフ
1950年代、ポルシェには工具やスペアパーツを運ぶのに適した車両がなかった。そこで1950〜1970年代、ポルシェのモータースポーツのワークスチームは、レーシングカーのサポート車両として、初代フォルクスワーゲン「T1」(『Bulli』とも)など、フォルクスワーゲンのミニバンを活用していた。

当時のポルシェ車と同じく、信頼性の高い空冷エンジンを搭載したフォルクスワーゲンのバンは、移動サービスステーションとしてだけでなく、エンジニアやチームメンバーの休憩場所としても活用された。

ポルシェカレラカップを運営しているしているポルシェ・ドイツが、この伝統に敬意を表し、フォルクスワーゲンID. Buzzをサポートカーとして導入した。ダークレッドの車体は、当時のサポート車両「ポルシェ・レンディエンスト・バス」がモチーフだ。2台のID. Buzzが2023年シーズンを通して、ポルシェカレラカップに同行する。

◆商用バージョン「ID. Buzzカーゴ」がベース
サポートカーのベースは、ID. Buzzの商用バージョン「ID. Buzzカーゴ」だ。フォルクスワーゲングループの新世代EV向けのモジュラー車台「MEB」を使用する。そのアーキテクチャは、ソフトウェアとテクノロジーのさらなる開発を可能にするという。ID. Buzzカーゴは将来、無線アップデートによって車載のソフトウェアとテクノロジーを進化させていく。

モーターはリアアクスルに搭載する。最大出力201hp、最大トルク31.6kgmを引き出す。最高速はリミッターによって、145km/hに制限される。バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は82kWh(正味容量は77kWh)とした。1回の充電での航続は、最大で425km(WLTPサイクル)に到達する。

最大で425kmの航続は、欧州仕様の乗用ミニバンの「ID. Buzzプロ」の423kmよりも2km長く、ID. Buzzシリーズ最長になる。急速充電を利用すれば、バッテリーの8割の容量を充電する時間は、およそ30分で済む。

◆後席がなく乗車定員は2名または3名
ID. Buzzカーゴでは、エアロダイナミクスを追求したデザインを採用する。前面空気抵抗を示すCd値は0.29とした。これにより、エネルギー消費が削減され、航続を拡大する。

欧州での発売当初、全長4712mm、ホイールベース2988mmの標準ボディが導入される。2988mmのホイールベースは、フォルクスワーゲンの内燃エンジン搭載の主力商用車の『T6』比較として、2mm違うのみ。一方、T6の全長4904mmに対して、ID. Buzzカーゴの全長は192mm短い。これにより、T6と同様の室内長を維持しながら、より小さな駐車スペースに停めることができるという。また、ID. Buzzカーゴの全幅は1985mmで、T6よりも81mmワイドだ。全高は1938mmで、T6の全高1970mmと比較して、およそ30mm低くしている。

後席がなく、乗車定員は前席がセパレートの場合は2名、前席がベンチシートの場合は3名となる。前席と荷室の空間を分ける固定式のパーティションが装備される。このパーティションには、前席から荷室が確認できる窓ガラスが付く。ID. Buzzカーゴは3.9立法mの荷室容量を備えている。荷室フロアには、欧州で一般的な貨物規格の「ユーロパレット」を2個、横方向に積載し固定することができる。

往年のポルシェ・レンディエンスト・バス(左)。#3はポルシェ356B 1600GSカレラGTLアバルト《photo by Porsche》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》