マクラーレン 750S スパイダー《photo by McLaren Automotive》

マクラーレンオートモーティブ(McLaren Automotive)は4月26日、新型オープンスーパーカー、マクラーレン『750Sスパイダー』を欧州で発表した。『720Sスパイダー』の後継モデルになる。

◆リトラクタブル・ハード・トップは11秒で開閉可能
750Sスパイダーでは、カーボンファイバーが、1ピース構造のリトラクタブル・ハード・トップ(RHT)に組み込まれたフレームとパネルに使用された。RHTは8個のモーターで駆動し、開閉メカニズムはほとんど無音で動くという。開閉時間は約11秒で、走行中でも50km/h以下なら開閉できる。ドライバーとパッセンジャーの間に、クーペにはない2個のスイッチが追加されており、RHTとリアウィンドウのガラスを個別に操作できる。

750Sスパイダーは、他社のアルミやスチール製オープントップスーパーカーとは異なり、カーボンファイバーならではの剛性と強度を持つ、と自負する。補強の必要はなく、クーペからの変更点は、RHT、内蔵ロールオーバー保護システム、専用のリアアッパーストラクチャー程度。これらもすべて、カーボンファイバー製とした。

フライングバットレスをガラス張りとした。これにより、気流をリアのトノーへ導くだけでなく、後方視界も確保している。キャビンにさらに光を取り込みたい顧客に向けて、RHTには、オプションでエレクトロクロミックガラスが用意された。ルーフを閉じている時も、オープンエアの雰囲気を味わえるという。

◆クーペと異なるスパイダーならではの設計箇所
750Sスパイダーは、クーペと同じスリムなAピラーを備えており、カーボンファイバー製の下部構造もクーペと同一だ。ただし、750Sスパイダーの「モノケージII-S」アーキテクチャーでは、エンジンベイの上部に専用のカーボン製ストラクチャーがあり、ここにカーボン製ロールオーバー保護システム(ROPS)とRHTが組み込まれた。コンパクトなROPSを覆うトノーバットレスは、ガラス張りのフライングバットレスとともに、リアのトノカバー上に高圧のゾーンを作り出し、リアアクスルのリフトを抑えるという。

750Sスパイダーは固定ルーフがないため、クーペに対してガスストラットの位置とドアヒンジシステムを変更した。外観上のクーペとの違いは、フロントフェンダーが長く、ドアが短く、ウィンドウがフレームレスという点だ。

セミアクティブダンパー内のパッシブ型油圧バルブと電子制御バルブは、とくに低速時のパフォーマンスを重視して設計された。これによってステアリングのレスポンスが向上している。前後アクスルの新ダンパーは、それぞれのスプリングレート変更と協調して作動する。たとえば、リアのスプリングが硬くなったことで、リアのダンパーはよりしなやかな動きを許容しながら、車体の姿勢を保つ。750Sスパイダーでは、クーペとの車重の違いを考慮した減衰特性としている。

◆4.0リットルV8ツインターボは最大出力750ps
750Sスパイダーには、「M840T」と呼ばれる4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを強化して搭載する。最大出力は、720psから750ps/7500rpmへ、30ps向上した。最大トルクは78.5kgmから81.6kgm/5500rpmへ、3.1kgm引き上げられた。トランスミッションは7速「SSG」。トランスミッションのギアレシオの最適化とキックダウン制御の変更によって、インギア加速(同一ギアでの中間加速)が向上しているという。

カーボンファイバー製モノコック構造により、車両重量は1438kgで、720Sスパイダーよりも30kg軽い。最軽量仕様の乾燥重量は1326kgとした。750Sスパイダーは0〜100km/h加速2.8秒、0〜200km/h加速7.3秒、最高速332km/hの性能を可能にしている。

アクティブリアウィングは延長され、720Sスパイダーのウィングより表面積が20%拡大することにより、空力効率を高めた。さらにカーボンファイバー構造によって、1.6kgの軽量化を果たす。中央部の切り欠きによって、後方視界を確保した。長いサーキット走行の後でも、エグゾーストの熱がウィングに影響することはないという。

油圧で動くこのウィングは、英国ヨークシャーの「マクラーレン・コンポジット・テクノロジー・センター(MCTC)」で製造されている。ウィングが展開する角度と車速は、クーペとスパイダーで異なり、主に3種類の作動ポジションがある、としている。

マクラーレン 750S スパイダー《photo by McLaren Automotive》