左から日産自動車の内田誠社長兼CEO、ルノーのジャンドミニク・スナール会長、三菱自動車工業の加藤隆雄社長兼CEO、ルノーのルカ・デメオCEO《写真提供 日産自動車》

日産自動車とルノーは2月6日、資本関係見直しで合意したと発表した。その会見で強調されたのは過去のわだかまりを清算して、新たなアライアンスのもと、将来に向けた一歩を踏み出そうというということだ。

「世界情勢は急速に変化している。気候変動、地政学的課題、市場の細分化など課題は山積している。過去の延長線上で事業は進められない。ビジネスのあり方を見直すことが重要だ。アライアンスは重要だが、次のレベルの変革が必要だ」

日産の内田誠社長は記者会見の挨拶でこのように述べ、「これは、チョイスでなく、ニーズだ」と強調し、「日産は日産の、ルノーはルノーの戦略を立てる。私たちは新しい形でやっていこうということで、非常に前向きに受け止めてもらいたい。今日は出発点だ」とした。

日産とルノーはそれぞれ15%の株式を保有すること。日産はルノーが設立するEV&ソフトウェア子会社「アンペア」に最大15%出資すること。そして、ラテンアメリカ、インド、欧州において、市場、商品、技術という3分野でプロジェクトを検討すること。そのような新たなアライアンスの枠組みが合意された。

特にアンペアについては、ルノーがIPO(新規株式公開)を考えており、「日産が欧州で新たなビジネスチャンスと生み出す」と内田社長は楽しみにしている様子だった。また、三菱自動車工業も「欧州の厳しい排ガス規制を背景に電気自動車の導入を検討せざるを得ない。アンペア社からのOEMは、非常に魅力的なソリューションの一つになると確信している」と加藤隆雄社長兼CEOは話し、資本参加について検討していくことを明らかにした。

「アライアンスの変革に重要なのは、効率的な組織とガバナンス強化だ。アライアンスの次のレベルでは、新しいアプローチが必要である。アライアンスメンバーが対等に、将来の機会に備えることができるようにするためで、対等なパートナーシップは変革を可能にする。この多々らしい体制が相互信頼を深め、各メンバーがその強みを発揮し、モビリティの未来に対するわれわれの共通の野心も加速できると確信している」と内田社長は述べた。

自動車業界は100年に一度と言われる大変革期を迎え、業界の図も大きく変わろうとしている。新興勢力の米テスラは電気自動車(EV)で一気にその存在感を高め、ソフトウェアによる機能拡充で売った後も稼ぎ続けるビジネスを展開する。また、米アップルやソニーグループはクルマを娯楽や遺贈サービスで稼ぐ空間に変えようと狙っている。

そういう中で、日産は新たなアライアンスの中でどんな会社になろうとしているのか。3社だけのアライアンスだけでは、将来大きく発展できるのか疑問符がつく。過去の延長線上ではない、思い切った展開が必要になってきそうだ。

日産自動車の内田誠社長兼CEO《写真提供 日産自動車》