マツダ3 e-SKYACTIV G 2.0(MHEV)《写真撮影 中村孝仁》

◆埋没した2リットルガソリンをMHEV化
久々に『マツダ3』に乗った。このクルマ、個人的には日本車離れした抜群にカッコイイハッチバックモデルだと思っている。セダンの方も十分にカッコイイのだが、やはり少し地味。そこへ行くとこのハッチバックの方は、文句なく世界レベルのスタイリングを持っている。

しかもトップグレードにはSPCCI(火花点火制御圧縮着火)と呼ばれる世界でも類を見ない革新技術を盛り込んだエンジン「SKYACTIV-X」を搭載している。しかし、こいつは想像以上に高かった。そんなわけであらゆるグレードに乗った結果、マツダ3のベストチョイスはベースグレードの「15S」と呼ばれる1.5リットルガソリンエンジン搭載車だと書いた。事実こいつが今は一番売れているのだそうである。

ディーゼルを推進するマツダだけに、ディーゼルもお勧めだ。2リットルガソリンエンジン搭載車は、そうした意味ではある意味埋没した存在だった。そんなわけでテコ入れというわけではないだろうが、単なるガソリンエンジンをやめて「e-SKYACTIV」というMHEV(マイルドハイブリッド)に変身させたのが今回の試乗車である。

◆肝心の燃費性能は…
一般的に世界の趨勢としてMHEVに使用するのは48Vのバッテリーである。まあ中には12Vを使うところもあるが、マツダの場合はその中間の24Vである。確かこのエンジンを搭載したクルマに最初に乗ったのは『MX-30』だったと記憶するが、その時もMHEVの大きなメリットが感じられなかった。エンジニアにも何故48Vではなく24Vにしたのか訊ねたところ、「コスト的な問題」という答えが返って来た。まあそれはそれで致し方ないとは思うのだが、どうも煮え切らない印象が強い。

確かにMHEV化したことでアイドリングストップ時からのエンジン始動はとてもスムーズで、以前のようにセル音がしてブルンとエンジンがかかるタイムラグはゼロ。それに車体の揺れもゼロだから、メリットがゼロであるというわけではないが、正直言って感じられたメリットはそれだけだった。

今回は走行距離が少々少なくて燃費データは若干アバウトかもしれないが、総平均は10.8km/リットル。以前MX-30で計測した時が10.9km/リットルであったからデータ的にはほぼ一緒。近頃滅多に2リットルガソリンエンジン搭載車などに乗らないからあまり断定的なことは言えないが、MHEV化して燃費が10km台だと、「なんだよこの程度かよ」という印象が正直否めないわけである。

◆非常にお買い得なクルマに映る。それだけに
ICE(内燃機関)自体はとてもスムーズだし、マツダが得意とするディーゼルに比べると鼻先がだいぶ軽くなるから走りの軽快感も損なわれない。そして何より室内の設えの良さは、最近のマツダ車の大きな美点。今回の試乗車はバーガンディーのシートやインパネを備えたバーガンディーパッケージと呼ばれるオプション装着車で、外装の プラチナクォーツメタリックのカラーリングと相まって実にセンスが良い。

因みにバーガンディーパッケージは15万4000円と結構なお値段で、これにボーズサウンドシステムや360度セーフティーパッケージなど試乗車のオプション総額は31万7880円に上る。しかし、それを加えても車両価格は302万1680円だから、昨今の自動車価格高騰を考えると非常にお買い得なクルマに映る。

ボーズもバーガンディーもいらないとなれば乗り出し300万円が実現する価格帯だから、こいつは大いに庶民の味方だ。同じCセグメントでもこれが輸入車になると軽々400万円を超えるケースが多いから、その差は単純に100万円。こうなると俄然このクルマの良いところが出てくる。だから、これで燃費で満足いくスコアが出るようになれば文句なしだから、正直個人的な気持ちとしてはまだまだ物足りないわけである。

ただ、SKYACTIV-Xと違ってこちらはプレミアム燃料を要求しない。つまりレギュラーガソリンでOK。ここでも庶民の味方というわけである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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