ミツオカグランドストアオープン《写真撮影  内田千鶴子》

光岡自動車は10月22日、富山県内唯一のフィアット/アバルト販売店である「フィアット/アバルト富山」と、ミツオカショールームの「MITSUOKA富山ショールーム」が併設される複合店舗、『ミツオカグランドストア』を富山市にオープンした。

◆光岡のショールームは脇役
建屋にはフィアット/アバルト富山と、MITSUOKA富山ショールームとともに光岡自動車初となる飲食店舗であるティールーム、「アクティ」が入る2階建ての複合店舗だ。それらをひとつ屋根の下で一堂に会し、楽しさと遊び心に溢れ、新たなカーディーラーのあり方に挑戦した店舗であるという。

光岡代表取締役社長の光岡章夫氏は、この構想の始まりは、「2019年の秋頃だった」と振り返る。「会長(光岡進氏)が私の部屋に入ってきて、光岡らしいショールームを作って、格好良いクルマを並べて、富山の皆さんに良いクルマを見せてあげよう、夜は軽くみんなで飲めるような場所が欲しいといってきた。私はそのとき、そこまでできる状況じゃないなと思っていた」と語る。その後、光岡自動車は、2020年の春に東京西東京市にジープの店舗をオープン。「そのときにポンタス・ヘグストロム社長をはじめ、ステランティスの方々から、富山でフィアットのディーラーはどうかと聞かれて、私はいつでもオッケーだと答え、この場所を何度も見せて承諾をもらった」と話す。

しかし、フィアット/アバルトは1店舗経営である。「そこに複合店舗が可能か。もしかしたらポンタス社長は承諾してもらえないかもしれないと思っていたが、色々な調整をしながらなんとかここまでこぎつけた」という。

その説得材料のひとつは、店舗の目的にあった。「クルマを見せる、クルマをお勧めするのは、普通のショールームでは当たり前のこと。しかし、ここ10年前ぐらいからショールームの来場者が減少している。その理由は、欲しいクルマであればそこに行くが、全く興味ない人はショールームに足を運ばない。そこで、これからの販売活動を変えるために、このブランドストアが出来上がった」と述べる。

そのポイントのひとつはアクティという紅茶並びにアフタヌーンティ専門店だ。「アクティに来たお客様がそこでお茶を飲んでいるときに、その横に可愛いクルマがあるな、こっちにもあるねと気付き、そこでクルマを見てもらうという新しい世界観にしたかった。従って1階の光岡ブースはアクティが主役で、光岡のショールームは脇役というイメージ。そうすることでこれからのお客様に沢山来てもらい、皆さんに喜んでもらいたい」と語る。

もうひとつ、2階のイベントホールもポイントだ。「ここではクルマとは関係ないイベントをやっていきたい。通常はクルマの展示をしているが、月に1〜2回、クルマには興味ない方に入っていただくイベントを開催。そうすることで、皆さんがここのイベントに来てはじめて、ここはクルマ屋さんだったんだ、こういうクルマがあるんだと思ってもらえるようにしたい」とその思いを語る。実際に12月にはクリスマスパーティを開催する予定で、それ以外にもいくつもの企画があるという。

また、光岡自動車は45年前、富山市で独自にスーパーカーショーを開催したことがある。そこで、「この場所を使い、来年の春にはスーパーカーショーをやりたい」と光岡氏。「いまのスーパーカーと、45年前のスーパーカーを同時に展示しながら、皆さんと楽しむ機会がほしいと、そういう企画を練っている」と述べた。

そこへの思いは、「楽しさと喜びを、お客様と社員が共有できる。そういうグランドストアにしたいと思っている。いつでもにこにこ笑ってお話ができる、笑って生ビールが飲める、ケーキが食べられるという簡覚で、この店を運営していきたい」と話し、「光岡自動車は5年前に50周年になった。このグランドストアは100年に向けて必要なのだ。新しいことにトライしながら我々は前に進んでいく」と語った。

◆新しいお客様との関係性を重視して
ステランティスジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏も駆け付けた。富山においてフィアット/アバルトは3年弱不在だったこともあり、オープンにかける期待は大きい。「光岡社長はとても明確なビジョンを持っていたが、新しい構想(複合店舗)に対する我々の反応に、少しだけ不安を感じていたようだ」と当時の印象を述べる。しかしポンタス氏は、「光岡社長が何を成し遂げたいと考えたのが、すぐにわかった。それは、2つのイタリアンブランドと、日本のブランドという、極めて個性的な3つのブランドが気持ちよく居合わせる場所を作り出すこと、そして富山に新しいお客様とのコミュニティを構築するための場所を確立するということだ」とその思いを代弁し、そこに共感を覚えたことを明かした。

ポンタス氏は、フィアットとアバルトブランドの現状について、「新型コロナウイルス感染症、半導体の不足、サプライチェーンにおける様々な問題という嵐をうまく乗り越えてきている。フィアットは本年、通年での販売台数が昨年に比べ若干減少する見込みだが、アバルトは、本年の販売台数は伸長している数少ないブランドの1つ。これは両ブランドのロイヤリティと期待を大いに物語る結果といえる」とコメント。そして、「『500e』は好意的な反応で、受注は伸長を続けている。来年にはフィアットとアバルトの両ブランドとも、より多くの日本向けの製品をお披露目できる見込みだ」と語った。

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