フェラーリ 296 GT3《photo by Ferrari》

フェラーリは7月29日、新型レーシングカーの『296 GT3』(Ferrari 296 GT3)を欧州で発表した。2023年、実戦デビューする予定だ。

◆GT3レギュレーションに従いPHVシステムは未搭載
同車は、フェラーリ伝統のミッドシップ2シータークーペの最新作、『296 GTB』がベースのレーシングカーだ。フェラーリは、モータースポーツに参戦しているチームやプロフェッショナルドライバーなどの要望を中心に据えて、296 GT3を開発した。開発にあたっては、GT3レースの新たなレギュレーションに適合させつつ、細かな点まで入念に検討を重ねたという。目指したのは現行のレーシングカーのフェラーリ『488 GT3』から勝利のバトンを受け継ぐこと。さらには、フェラーリのモータースポーツの歴史に新たな1ページを刻むことを目指す。

市販モデルの296 GTBはプラグインハイブリッド車(PHV)だが、レーシングカーの296 GT3では、GT3レギュレーションに従い、PHVシステムは未搭載となる。296 GT3には、296 GTB同様、シリンダーバンク角が120度の直噴3.0リットル(2992cc)V型6気筒ガソリンターボエンジンを搭載する。このエンジンをはじめ、シャシーの構造や各エレメントの配置などもピット作業を迅速に行えるように、最適化されている。

296 GT3の設計は、バンク角120度のV6エンジンを中心に据えて行われた。ターボチャージャーをVバンクの内側に収めたこのエンジンは、搭載位置が前方の低い位置になったことで、車両のバランス性能向上と低重心化を実現しているという。このV6エンジンは、フェラーリのエンジニアが専用に設計・開発したもの。296 GT3の場合、最大出力600hp/7250rpm、最大トルク72.4kgm/5500rpmを獲得している。

◆空力性能が追求されたエクステリア
エクステリアについては、ベース車両の296 GTBのしなやかな造形を再現できるように、ボリューム感を持たせつつ、サーキットとパフォーマンスの要件に合わせて、ボリューム感に調整を施している。

フロントスプリッターから、立体的デザインのディフューザーを備えたリアエクストラクターに至るまで、296 GT3は優れたエアロダイナミクス性能を実現することを目指した。この洗練されたデザインによって、ダウンフォースは488 GT3に対して、20%向上しているという。

インテリアは、完全に新設計された。その結果、ドライバーが最適なドライビングポジションをすばやく効果的に見つけられるコックピットとし、主要な機能に常にアクセスできるようにした。多くのコントロールや機能スイッチは、F1にインスパイアされた新しいステアリングホイールに移設された。サベルト製シートに、調整可能なペダルとステアリングを組み合わせて、体格や身長の異なるドライバーに新しいレベルの快適性を提供する、と自負する。キャビン内の空調システムは、あらゆる状況で適切に換気できるように設計されており、レースでドライバーが集中できるようにしている。

◆幅広いセッティングが可能なサスペンション
フロントとリアのダブルウィッシュボーンサスペンションは、高速走行でも最大のグリップを発揮するように設計されており、タイヤへの負荷を可能な限り低減して、タイヤの寿命、性能、信頼性を向上させることを狙う。サスペンションは、アンチロールバーと同様に、幅広いセッティングが可能。ドライバーに最高のセットアップを提供するという。

ブレーキシステムも見直されており、新設計のキャリパーとディスクで強化されている。Rotiformは、296 GT3 専用に新しい鍛造ホイールを開発した。新しい Rotiformデザインは、すべてのファクトリーフェラーリ 296 GT3プロフェッショナルレースカーに装着される専用ホイールになる、としている。

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