ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》

ドゥカティは6月30日、2023年から「MotoGP」の電動クラス「FIM Enel MotoEワールドカップ」(MotoE)に供給予定の電動バイクのドゥカティ『MotoE』に関して、モーターの出力などの詳細を発表した。

◆2023年からドゥカティが唯一の公式車両サプライヤーに
ドゥカティは2023年から、同レース唯一の公式車両サプライヤーになる。契約は2026年まで。ドゥカティは、2023年から4シーズンにわたって、MotoE ワールドカップ用のマシンを供給する。

コードネーム「V21L」の名前が与えられたプロトタイプは、「ドゥカティ・コルセ」チームとドゥカティの研究開発部門との間の緊密なコラボレーション、継続的なノウハウの共有により、パフォーマンスと電動モーターサイクルにおける軽量設計のベンチマークを達成することを目標に製作された。

MotoEプロジェクトは、ドゥカティの電動化の時代の始まりを示すものであり、ドゥカティの歴史上、重要なステップになるという。ドゥカティは、今後数か月にわたり、マシンの技術的進化に加え、プロジェクトに関する詳細な情報を、世界に向けて継続的に発信する予定だ。

◆モーターは最大出力150ps
モーターは最大出力150ps、最大トルク14.3kgmを引き出す。モーターの重量は21kgで、最大回転数は1万8000rpm。ドゥカティの技術仕様に従って、パートナーが開発した。イタリアのムジェロ・サーキットにおけるテスト走行では、最高速が275km/hに到達した。

5kgの軽量インバーターは、EVレースで使用される高性能モデルから派生したユニットだ。システム電圧は800V。電動パワートレインの出力を最大限に発揮して、パフォーマンスと航続の最大化を追求している。バッテリーパックの重量は110kgで、蓄電容量は18kWh。リア部分には、出力20kWの充電用ソケットが設置された。その内部には、円筒形セル1152個が格納されている。

冷却システムにより、過酷な走行条件でも温度が一定に保たれ、パフォーマンスや充電時間の点でもメリットをもたらす。ドゥカティMotoEはピットに入るとすぐに充電可能で、約45分でバッテリーを80%まで充電することができる。

シャシーの面では、リアにMotoGPに参戦している「ドゥカティ・デスモセディチ」に似た形状のアルミ製スイングアームを採用した。重量は4.8kg。テール部分とライダーシートを統合したリアのサブフレームは、カーボンファイバー製だ。ドゥカティMotoEの総重量は、225kgとした。

◆将来の市販電動バイクに技術を反映
レースの世界で開発された技術を、製品ラインナップに移植することにより、ドゥカティは高性能なモーターサイクルを市販することを可能にしてきた。FIM Enel MotoE ワールドカップもこの点で例外ではなく、参戦するマシンを製作することで、スポーティで軽量かつパワフルな電動バイク向けテクノロジーとテスト方法を開発することができるという。

ドゥカティは、2030年までに電動化モデルを製品ラインナップの主力に位置付ける「New Auto」戦略を掲げるフォルクスワーゲングループの一員だ。この戦略は、電動パワートレインへと変化を遂げるための最善の道筋を示しているという。

電動バイクの世界におけるドゥカティのこの最初のステップは、製品ラインナップの進化にも影響を与える。現在、この分野で最も重要な課題は、サイズ、重量、航続、充電ネットワークの拡充だ。FIM Enel MotoE ワールドカップにおけるドゥカティの経験は、テクノロジーや化学分野における進化とともに、製品の研究開発における基盤になる。その目標は、テクノロジーが許す限り、スポーティで、軽く、スリリングで、すべてのファンを満足させることができるドゥカティ製の市販電動バイクを製造する方法を研究すること、としている。

ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》 ドゥカティ MotoE のプロトタイプ《photo by Ducati》