ソニーが自社開発したVISION-S 02《写真提供 ソニー》

2022年3月期決算企業の定時株主総会がピークを迎えている。

株主総会といえば、昭和の昔は、いわゆる“総会屋”と呼ばれる特殊株主が、議事進行を妨げるケースが目立ち、その対策から集中日に開催していたが、最近は分散化が進んでいる。それでもきのう(6月28日)は多くの企業で株主総会が開かれて、きょうの各紙も注目企業の総会関連の記事が目白押し。

このうち、経営体制が揺らいでいる東芝は、「物言う株主」の投資ファンド幹部2人も加わり、13人の取締役選任案を賛成多数で可決したものの、その2人の取締役就任に反対していた社外取締役が総会直後に辞任するという混乱状態となり、初日から波乱の幕開けとなった。

一方、連日の猛暑で東電管内に「電力需給逼迫注意報」が発令されるなど、全国的に「電力不足」が深刻な中で、大手電力10社中9社の株主総会が各地で開かれ、株主からは安定供給をめぐる注文が相次ぎ、原発が需給や各社の収益改善に寄与するとして、再稼働が進まない状況にいらだつ声もあったという。

こうした中、1.2%の株を保有する大株主の東京都の小池百合子知事も、東京電力ホールディングスの株主総会に出席。定款に電力の安定供給や需給逼迫時の情報開示などを追加するよう求める3つの株主提案をしていたが、議案はいずれも否決されたそうだ。

自動車業界でも、日産自動車が横浜市のグローバル本社で開催。きょうの朝日や日経などが取り上げているが、ロシアのウクライナ侵略に伴い3月14日から停止しているロシア工場の生産について9月末まで停止する方針を示したほか、アライアンスを組む仏ルノーの電気自動車(EV)事業の分社化構想や、民事再生手続きに入ったマレリホールデングスへの関与などについて、16人の株主からの質問に、議長を務めた内田誠社長らが説明した。出席した株主数は254人で、所要時間は1時間51分だったという。

このほか、自動車関連ではソニーグループの株主総会で、吉田憲一郎会長兼社長が、ホンダと組んで参入するEVについて、「2025年のEV発売に向けて万全を期したい」と述べたなどと、きょうの日経が報じている。

記事によると、株主から「モビリティーはモバイルゲームとは違い、安全性が重要。参入する以上は覚悟が必要だ」とし、「リコールレベルの訴訟になったらソニーとホンダのどちらが表に出て責任を負うのか」と質問され、吉田社長は「EVの発売主体はホンダとの共同出資会社。1次的には同社が責任を負う」としつつ「安全面で十分な対策をとらないといけない」と答えたという。

2022年6月29日付

●広島サミット5月19日、来年、21日まで首相表明(読売・1面)

●株主総会、東芝「物言う株主」取締役に「反対」取締役は辞任(読売・9面)

●鉄道脱炭素中間案を了承、有識者会議、官民協議会を明記(読売・9面)

●ニッポンの給料、上げ幅議論開始、物価高切実な最低賃金(朝日・2面)

●「生産に影響ないよう連携」日産社長、マレリ民事再生で(朝日・8面)

●企業とスポーツ、都市対抗出場トップに聞く、Honda三部敏宏社長、チャレンジ精神体現(毎日・7面)

●ホンダ系ランサム被害、インドネシア合弁会社「事業影響なし」(東京・24面)

●日産、対ルノー協定初公開、日仏連合の統治再構築(日経・17面)

●EV「安全に万全期す」ソニー社長、ホンダと協業巡り、株主総会(日経・17面)

日産の株主総会(6月28日)《写真提供 日産自動車》