フォルクスワーゲンのドイツ・エムデン新工場で量産を開始した ID.4《photo by VW》

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は5月20日、ドイツ・エムデン工場に完成した電動車専用の組み立て新工場において、『ID.4』の量産を開始した、と発表した。

◆生産能力は1日あたり最大800台が目標
ドイツ・エムデン工場の電動車専用の新工場は、面積が約5万平方m。プレス工場と塗装工場も、2万3000平方m拡張された。塗装工場は近代化され、6000平方mの面積を持つ「バイカラーホール」が、車両のルーフを黒く塗装するために建設された。ツートン塗装は、ID.シリーズならではのカスタマイズとなる。

さらに新工場には、自動化された部品倉庫が計画されている。ID.4をはじめ、フォルクスワーゲングループの他のEVを含めて、年間最大30万台のEVを生産する能力を備える予定だ。2022年末までに、生産能力は1日あたり最大800台を目指している。

フォルクスワーゲンは、eモビリティの分野において、世界のリーダーを目指している。2024年までに、eモビリティに約110億ユーロを投資し、工場の改修を進める。また、2025年までに20を超えるEVを発売し、フォルクスワーゲン車のCO2排出量を3分の1削減することを見込んでいる。

◆EV向けモジュラー車台の「MEB」
ID.4はフォルクスワーゲンの新世代EVの「ID.」ファミリーの2番目のモデルだ。第一弾は、小型ハッチバックの『ID.3』だった。ID.4は、フォルクスワーゲンブランド初の本格的な電動SUVになる。世界最大の市場セグメントに成長しているコンパクトSUVセグメントに投入するために開発された。

ID.4は、フォルクスワーゲングループのEV向けモジュラー車台、「MEB」アーキテクチャをベースにしている。全長は4580mmで、乗員のための充分なスペースを持つ。トランクルームの容量は543リットル。後席を倒せば、最大で1575リットルに拡大する。電動テールゲート、ルーフレール、キャンピングカーなどのけん引ブラケットが装備される。

インテリアは、ボタンやスイッチ類を極力なくし、2つのディスプレイに操作系を集約した。そのうちの1つのディスプレイは12インチサイズで、タッチ機能を備えている。

◆バックオーダーは全世界で約7万3000台
スポーティかつオールラウンドな性能を追求した。リアアクスルに搭載されたモーターは、最大出力204psを引き出す。動力性能は、0〜100km/h加速が8.5秒、最高速は160km/hでリミッターが作動する。

バッテリーは蓄電容量が77kWh。1回の充電で最大520 km(WLTPサイクル)の航続を可能にする。バッテリーは低重心化のために、キャビンのフロア下にレイアウトされた。後輪駆動による強力なグリップと210mmの最低地上高により、整備されたオフロードで優れた性能を発揮するという。アルミホイールは、最大で21インチが装着できる。

ID.4は、2021年前半に市場に投入され、成功を収めている。2022年第1四半期(1〜3月)、3万台以上のID.4を顧客に引き渡した。フォルクスワーゲンのEVの販売の2分の1が、ID.4だ。発売以来、16万3000台が納車されており、フォルクスワーゲンブランドとグループで最も売れているEVに。デンマーク、フィンランド、アイルランド、スウェーデンなどの国では、最も売れているEVとなった。現在、バックオーダーは全世界で約7万3000台に到達している。

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