ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス《photo by Porsche》

ポルシェは5月16日、『718ケイマンGT4』をEV化したコンセプトカー『718ケイマンGT4 eパフォーマンス』(Porsche 718 Cayman GT4 ePerformance)を欧州で発表した。

◆現行の『911GT3カップ』とパフォーマンスは同等
718ケイマンGT4 eパフォーマンスでは、前後アクスルに高性能モーターの「PESM」を搭載する。システム全体で1088psのパワーを引き出し、4輪を駆動する。モーターやバッテリーを直接油冷する方式を導入し、熱による出力低下を排除。レーシングモードでの出力は、30分間一定に保たれるという。

900ボルトの急速充電テクノロジーを採用した。これにより、バッテリーの容量の8割を充電する時間は、約15分で済むという。

ポルシェのシミュレーションでは、1回のレースで612psのモーターパワーをコンスタントに最大30分間、発揮できることが確認された。これは、「カレラカップ」のレース時間と同じ。718ケイマンGT4 eパフォーマンスは、ラップタイムと最高速の点で、現行の「タイプ992」世代の『911GT3カップ』のパフォーマンスと同等という。

◆『ミッションR』のEVパワートレインがベース
718ケイマンGT4 eパフォーマンスのEVパワートレインは、2021年秋のIAAモビリティ2021で初公開されたレーシングEVコンセプト、『ミッションR』がベースだ。ミッションRの場合、電気モーターは、フロントが最大出力435ps、リアが最大出力653psを発生する。予選モードでは、システム全体で最大出力1088psを獲得する。レースモードでの最大出力は680psとした。蓄電容量がおよそ80kWhのバッテリーと革新的な回生システムにより、パワーを失うことなくスプリントレースを可能にしていた。

ミッションRのモーターは4輪を駆動し、0〜100km/h加速は2.5秒以下で駆け抜ける。最高速は300km/h以上。サーキットでは、EVレーサーは現行のポルシェ911GT3カップと同じラップタイムを可能にしていた。新設計された電気モーターとバッテリーセルにより、ダイレクトオイル冷却システム装備が可能になり、熱によるバッテリーの出力の低下を解消している。また、900Vテクノロジーと最大出力340kWで急速充電できる「ポルシェターボチャージャー」により、レース中の15分の休憩時に、バッテリー容量の80%の充電を可能にしていた。

◆レーシングEVを使用した将来のワンメイクカップを想定
718ケイマンGT4 eパフォーマンスは、内燃エンジンを積むレーシングカーの『718ケイマンGT4クラブスポーツ』よりも、ボディを140mmワイド化した。およそ6000点の部品を新設計する。ボディは天然繊維を使った複合素材でできており、同等の複合素材よりも生産時の排出量を少なくすることを目的としている。

リサイクルされたカーボンファイバーを、試験的に活用する。ベース車両の718ケイマンGT4クラブスポーツに対して、ワイド化されたフェンダーが、ミシュラン製の18インチのレーシングタイヤの装着を可能に。再生可能素材は、タイヤにも使用されている。

ポルシェは、718ケイマンGT4 eパフォーマンスの走行テストを開始した。ポルシェのGTレーシングカープロジェクトマネージャー、マティアス・ショルツ氏は、「ミッションRでは、ポルシェが将来の持続可能なカスタマーモータースポーツの姿を提示した。718ケイマンGT4 eパフォーマンスでは、ミッションRのビジョンがサーキットで実際に機能することを証明していく。レーシングEVを使用したワンメイクカップは、既存のカスタマーレーシングプログラムに加わる新しい形として重要」と述べている。

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