トライアンフ スピードトリプル1200RR《写真撮影 雪岡直樹》

「おしゃれは我慢」などという言葉があるが、過去のカフェレーサーも我慢を強いられるマシンであったと思われる。オーソドックスなマシンをベースにロケットカウルやシングルシートを装着。セパハン&バックステップによる厳しいライディングポジションは、メリットよりもデメリットのほうが多かったはずである。やせ我慢してまで、そのスタイルへこだわることが美学でもあったのだろう。しかし時代は変わった。

現代に蘇ったトライアンフ版カフェレーサー
ストリートファイターイメージである『スピードトリプル1200RS』をベースに、ロケットカウル風フロントフェアリングやシングルシート風カウルを装着した『スピードトリプル1200RR』は現代に蘇ったトライアンフ版カフェレーサーというべきマシン。セパレートハンドルやスポーティなステップを装着するものの、スーパースポーツマシンほど極端ではなく、ハンドル切れ角もしっかり確保。日常的な使い勝手はRSに譲るものの、過去にあった我慢は不要である。

過去最大排気量となったスピードトリプルのエンジンであるが、ただ闇雲にトルクがあるといったアンバランスなものではなく、そのトルクの湧き上がり方が非常に優しいのが特徴である。反面、最高出力は少し控えめといった過去のスピードトリプルに対し、トライアンフの市販モデル史上、最高出力となる180馬力を絞り出す。

使い切れないほどのパワフルさはこのマシンのボーナス
誰がこれ以上望むんだ?というほどのパワフルさで、開ければ過去最速というポテンシャルを味あわせてくれる。とはいえ、それは闇雲にパワーを絞り出したといったキャラクターとはなっておらず、どこかに余裕を感じさせるもので、張り詰めた緊張感とも無縁である。

低回転域で街流すような走りから、ちょっとペースを上げてのスポーツラン。ポテンシャルを使い切ろうとせずとも満足感の高い走りを披露。正直、高回転域はクローズドコースでないと使い切れないほどのパワフルさをもつが、それはむしろこのマシンのボーナスとも言える性能であるといえよう。

また、ネイキッドスタイルのRSが機械式サスペンションを採用しているのに対し、RRは電子制御式サスペンションを採用している。これにより、高荷重域のみならず、ゆっくり走らせる際でのフィードバック性も豊富であり、ライダーがマシンに歩み寄りやすくなっている。ライディングモードによる細かいエンジンキャラクターの変貌具合と同調してサスペンションも自動でアジャスト。また、任意でかなり細かい調整が出来るのも面白い。

ベースマシンの良さを引き継ぎつつ新たな魅力も身につけた
スピードトリプル史上、過去最速とも言えるパッケージングで登場したRSのフェアリング装着版は、単純にスタイリングの違いだけでなく、ベースマシンの良さを引き継ぎつつ新たな魅力も身につけた。本格的レース参戦をにらむマシンと異なり、ラップタイム重視としなかったことで、より幅広いフィールドで気持ち良いと思えるキャラクターとなっている。

見てよし、乗ってよしを高次元でバランスさせたマシンに仕上がっていたのである。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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