フェラーリ 296GTS《photo by Ferrari》

フェラーリは4月19日、『296GTS』(Ferrari 296 GTS)をワールドプレミアした。ミッドリアエンジンレイアウトのクーペ、『296GTB』のオープン版で、「GTS」はグラン・ツーリスモ・スパイダーを意味している。

◆トノカバーは近年のフェラーリのスパイダーとは異なるデザイン
296GTSには、電動リトラクタブル・ハードトップ(RHT)を採用した。ルーフを閉じたシルエットは、クーペの296GTBに近いデザインとした。軽量設計のRHTは14秒で開閉でき、45km/hまでなら走行中でも開閉が可能だ。

ボディとルーフはBピラーの上で分離している。格納時には2つに分割されて、エンジンの前方に平らに折りたたまれる。そのため、エンジンカバーの後方部分に窓を設けることが可能となり、そこからエンジンを見ることができる。ルーフ格納時は、高さ調節が可能なガラス製のリアスクリーンがキャビンとリアデッキを隔て、高速走行中でもキャビンへの風の巻き込みを抑える。

RHTをエンジンコンパートメント内に格納する必要から、フェラーリ・スタイリング・センターは、新しいトノカバーのデザインを考案した。その形状は、近年のフェラーリ・スパイダーとはまったく異なるスタイリング要素となっている。クーペの296GTBでは、『250LM』をインスピレーションとして、エンジンベイは完全に水平で、左右のフライング・バットレスに占められていた。しかし、296GTSのテールは、独自デザインとした。

◆クーペの296GTBと同じエアロダイナミクス
296GTSのリアのエアロダイナミクスでは、リアデッキの後流をマネージメントするソリューションを中心に、RHTの導入に伴う制約がある中でも、最適に機能するよう開発が進められた。ウィング形状とフライング・バットレスによって、296GTBと同じエアロダイナミクスと熱効率を実現した、と自負する。

296GTSのトノカバーは、その特殊な形態で、クーペと同じ空力作用をもつバーチャル・フェアリングを作り出す。空力と冷却の効率が最大限に高まるように、上を通過する空気を空力的形状で正確にそらすという。これによって、296GTSのアクティブスポイラーが発生するダウンフォースは、296GTBと同量とした。

クーペボディと同レベルの快適性を確保するため、コクピット内の乱流を抑え、乗員周囲の空気の巻き返しを管理するソリューションが開発された。ヘッドレスト後方のトリムの形状を最適化して、できるだけ多くの空気をトノカバーへ送り出し、車内に巻き返す気流の量を低減している。リアトリム周囲に残った気流は、トリムとシームレスに一体化したノルダーにぶつかる。ここで巻き返しが遮断され、乱流はセンタートンネル下部に到達する前に消散するという。

◆「eDriveモード」では最大25kmのゼロエミッション走行が可能
296GTSでは、クーペの296GTBのシャシーを再設計し、最適化して、ねじり剛性と曲げ剛性を従来のスパイダーモデルよりも引き上げた。ねじり剛性は50%、曲げ剛性は8%高めている。これに関わる主な部分は、Aピラー、Bピラー、サイドシルだ。

296GTB同様、パワートレインは新世代のプラグインハイブリッド(PHV)だ。排気量2992ccのV型6気筒ガソリンターボエンジン(最大出力663hp)にモーター(最大出力167hp、最大トルク32.1kgm)を組み合わせ、830hp/8000rpmのパワーと75.5kgm/6250rpmのトルクを引き出し、後輪を駆動する。

トランスミッションは8速デュアルクラッチ「F1」。乾燥重量は1540kg。0〜100km/h加速は2.9秒、最高速は330km/h以上と、クーペの296GTBと同じパフォーマンスだ。バッテリー(二次電池)は蓄電容量が7.45kWh。電力のみを使う「eDriveモード」では、最大25kmのゼロエミッション走行を可能にしている。

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