備蓄石油の放出について説明する米バイデン大統領。《Photo by Alex Wong/Getty Images News/ゲッティイメージズ》

逆転・再逆転の繰り返しという、今年のヤクルト対オリックスのプロ野球SMBC日本シリーズは接戦のゲームばかりでなかなか面白い。勤労感謝の日の夜も手に汗握る逆転劇の熱戦だったが、そんな試合の最中、米国のホワイトハウスが、石油備蓄の一部を市場に放出すると発表したという、マイカー族などにも気になる「ニュース速報」が流れた。

きょうの各紙も1面トップで「米、石油備蓄放出へ、日中などとガソリン高抑制」などと報じている。それによると、原油価格の高騰に対応するためで、日本や中国、英国、韓国、インドといった消費国と協調して実施するもので、米国は今後、数カ月間で5000万バレルの放出を予定しているという。米国の呼びかけで主な消費国が協調するのも極めて異例であり、それらの消費国が原油高対策として放出するのも初めてとみられている。

日本政府も初めて国家備蓄の一部を放出する方向で最終調整に入ったとしており、きょう11月24日にも発表する見通しで、放出量は「とりあえず数日分」とも伝えている。

ただ、自動車社会の米国ではガソリン価格の急騰がバイデン政権の支持率低下につながっているという思惑も見え隠れするほか、消費国の備蓄放出に「OPECプラス」の産油国側が反発することも予想され、生産が縮小されれば値下げ効果が失われる可能性もある。専門家の間でも、放出効果は見通せない懐疑的な見方もあるようで「油断は大敵」だ。

一方で、ニューヨーク外国為替市場では、バイデン米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の再任を発表したことをきっかけに、早期利上げ観測が強まり、米長期金利が上昇、ドル買い円売りが広がった。円がドルに対し下落し、一時、1ドル=115円台をつけるなど、2017年3月以来、約4年8カ月ぶりの円安ドル高水準となっているのも気がかりで、国際情勢からも目が離せない。

2021年11月24日付

●米、石油備蓄放出へ、5000万バレル、日中印韓英と連携、日本きょう発表(読売・1面)

●レッカー車位置契約者に配信へ、損保ジャパン(読売・7面)

●社説、ガソリン補助、ほかのやり方はないのか(朝日・8面)

●円安進行一時115円、4年8か月ぶり、米で利上げ観測(毎日・2面)

●マイカーの代わり交通サービス必要、高齢者免許返納促すには、大阪3人死傷事故(産経・25面)

●EV電池レアメタル再利用、住友鉱山、低コストの抽出技術(日経・7面)

●電動バイクの電池管理システム、パナソニック製採用、グラフィット、10億円調達(日経・9面)