ホンダジェット2600コンセプト《写真提供 ホンダ》

ホンダが、投資家などが目を引くような “株価対策”とも思える中長期を見据えた夢を追う「経営戦略」を相次いで公表している。

「空飛ぶクルマ」や小型ロケットの開発などをぶち上げたばかりだが、今度は米ラスベガスの展示会では航空事業を手掛ける子会社が、小型ビジネスジェット機の『ホンダジェット』で、現行機より約1.8倍大きな新型機のコンセプトとともに開発構想を発表した。

それによると、現行の最大8人の乗員・乗客が搭乗できる「ホンダジェット・エリート」に対して、構想中の新型機は「ホンダジェット2600」という名称で、定員は最大11人に拡大。航続距離も4862kmを目指しており、米大陸内や欧州内の主要都市間の移動が可能になるそうだ。

ただ、現時点では「市場の需要を調べている段階で販売は検討中」で、商業化は未定という。ホンダジェットは、創業者の本田宗一郎氏の夢を実現するために1960年代に開発に着手。半世紀に及ぶ長い年月を経てようやく2012年に米国で量産を開始し、15年には1号機が日本の上空にも初飛行した。

出荷数は小型ジェットという領域では4年連続の世界1位だが、年間300億〜400億円の赤字が続いており、事業の立て直しが急がれている。

一方、ホンダの主戦場の中国では、2030年以降に中国で新たに投入する四輪車を全て電気自動車(EV)などの電動車にする計画を発表。ガソリンだけで走る従来型の新型車は投入しないという。

また、中国市場では来年春にはホンダブランドのEVシリーズ第1弾として、現地企業との合弁会社である「東風ホンダ」と「広汽ホンダ」のそれぞれから計2車種を発売する計画で、今後5年間で10車種投入し、生産体制の拡充へEVの専用工場も新設するという。

きょうの各紙にも「ホンダ全新車電動化、中国で30年以降、現地EV工場24年稼働」や「ホンダ、中国EV急シフト、30年以降ガソリン新型車の発売せず」などと、読売や朝日は経済面のトップ記事として取り上げているが、ホンダジェットの記事は、日経などが10月13日付けの夕刊1面で速報したほかは地味な掲載で、メディアによっては温度差がみられる。半導体などの部品不足による減産やガソリン価格の高騰という不安定な経営環境の中で、株価にどう反映するのかも興味深い。

2021年10月14日付

●衆院きょう解散、代表質問与野党、政策訴え(読売・1面)

●ガソリン高値162円台、6週連続上昇、7年ぶり水準(読売・2面)

●ホンダ全新車電動化、中国で30年以降、現地EV工場24年稼働(読売・7面)

●「脱炭素」船近づく船出、水素燃料電池実用化へ2社開発(朝日・8面)

●ホンダジェット新型公開(朝日・8面)

●調布陥落、専門家が地盤調査、掘削ルート外にも緩み(東京・1面)

●事故後の通院配車支援、あいおいニッセイが実験、アプリ活用(日経・18面)

ホンダジェット2600コンセプト《写真提供 ホンダ》 中国市場向け、ホンダの電動化車両《写真提供 ホンダ》 ヤンマーの水素燃料電池試験艇《写真提供 ヤンマー》