ランドローバー ディフェンダー 110 D300(ディーゼル)《写真撮影 中野英幸》

最近はSUVが人気だが、そのラインナップの多くは、日本車であれば『ハリアー』や『ヴェゼル』のような都会的な車種だ。このタイプが急増したことで、SUVの需要に、原点回帰の傾向が見られるようになった。

その結果、少数派の悪路向けSUVが注目され、『ジムニー』が高い人気を保っている。前輪駆動ベースのシティ派SUVでも、悪路向けの雰囲気を備えた『RAV4』が注目されている。2021年1〜6月の輸入車販売ランキングを見ると、メルセデスベンツ『Aクラス』やフォルクスワーゲン『ポロ』に混ざって、ジープ『ラングラー』が7位に入った。


そこで試乗したのがランドローバー『ディフェンダー』だ。ボディ構造は、従来のラダーフレームからモノコックに変更されたが、悪路向けのSUVであることに変わりはない。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、エアサスペンション装着車であれば291mmを確保することが可能で、水深が900mmの場所も走破できる。

日本において、この走破力を使う場面はほとんどないが、それは高性能なスポーツカーを街中で運転するのと同じだろう。


試乗したロングボディの「110」は、全長が4945mm、全幅は1970mmと大きく、最小回転半径も6.1mに達する。街中での取りまわし性は悪いが、ボンネットが良く見えてボディの四隅も分かりやすいから、さほど運転しにくい印象はない。

むしろ慣れが必要なのは、悪路に対応した鈍めの操舵感だ。舗装された峠道などを走ると、曲がりにくく感じることがある。この適度な緩さが、悪路ではちょうど良い反応の仕方に変わる。

車両の性格を考えると、本命は3ドアのショートボディ(それでも全長は4510mmだが)を備えた「90」だと思う。特にグロスホワイトの18インチスチールホイールを装着するベーシックな仕様は、SUV本来のシンプルな雰囲気が魅力だ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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