首都高(イメージ)《Photo by Matthias Hangst/Getty Images/ゲッティイメージズ》

首都高速ではマイカーなどの一般車の通行料金を1000円も上乗せして東京2020オリンピックの大会関係車両を優先させる「五輪ファースト」とはいえ、いくらなんでも「当て逃げ」は許される行為ではない。

東京都内の首都高速道路で、東京五輪のボランティア男性が運転する大会関係車両が車2台に相次いで追突し、そのまま走り去ったことが、警視庁への取材で分かったという。

きょうの各紙が社会面で「五輪車両当て逃げか」「2台に追突側面にも衝突、大破したまま『送迎優先』」(毎日)などのタイトルで報じている。

記事によると、追突事故を起こした車両は、ボランティアの50代の男性会社員が運転。8月1日午後6時ごろに外壁に接触後、前方のトラックと軽ワゴン車に相次いで追突。外壁には複数箇所にぶつかった痕跡があり、車に追突した後にも接触したとみられるという。その車両には、大会関係者1人を都内から千葉県内に送る途中で、車体前部が壊れた状態でも10数km走行し、首都高を降りた千葉県内で県警に職務質問を受けたようだ。

男性は警察に「オリンピックのスタッフを送ることを優先した」と話していたそうだが、運転免許証取得の講習でも、事故に遭遇したドライバーは直ちに警察へ連絡するとともに、負傷者がいる場合は救護の対応にあたるのが当然の義務とされる。それが現場を離れて“逃走”するとは言語道断で五輪車両だから許されることではない。

警察当局では悪質な当て逃げとみて道交法違反(事故不申告、救護義務違反)の疑いで調べているようだが、追突された軽ワゴン車に乗っていた都内在住の50代と20代の女性2人は、けがをして病院に運ばれたという。

一方で、毎日によると、大会関係者が絡む交通事故は、五輪開催以降、この当て逃げを含めて76件も発生。事故以外でも交通違反が28件確認されているという。
トヨタ自動車では、今回の大会に3700台もの車両を提供しているそうだが、「安全・安心」の大会を標榜しているだけに、ボランティアドライバーの相次ぐ違反行為には悲嘆にくれるばかりだろう。

2021年8月3日付

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